待ちに待った新車の納車後、数日してからボディやサイドステップなどに傷を見つけることがあります。特に納車直後に別の不具合まで判明していると、傷についても「納車前から付いていたのではないか」と疑問を持つのは自然な流れでしょう。
ただし、納車後に見つかった傷については、傷があることと、その傷を販売店が付けたことは別の問題です。時間が経つほど原因の特定が難しくなるため、感情的に責任を追及するより、発見時点の状態を記録し、販売店と事実関係を確認することが重要です。
この記事では、新車の納車後に傷や不具合を発見した場合に確認したいポイント、ディーラーとの話し合い方、メーカー保証との違い、解決しない場合の相談先まで整理します。
新車の納車後に傷を見つけたら、まず何をするべき?
最初に行いたいのが、傷の状態をできるだけ早く記録することです。スマートフォンなどで傷のアップだけでなく、車両のどの位置にあるのか分かる写真も撮影しておきます。
写真については、傷の位置、長さ、深さ、周囲の状態が分かるように複数の角度から撮影するとよいでしょう。「○月○日の朝、自宅駐車場で発見」など、発見日時や状況もメモしておくと、その後の説明がしやすくなります。
さらに重要なのが、納車後の走行状況です。納車日から傷を発見するまでに、どこへ行ったか、どこに駐車したか、洗車したかなどを可能な範囲で整理します。これは販売店に責任がないと決めつけるためではなく、傷が付いた可能性のあるタイミングを客観的に絞り込むためです。
納車から数日後でもディーラーへ相談してよい
傷を納車時に発見できなかったからといって、数日後の相談そのものを諦める必要はありません。気付いた時点で購入した販売店へ連絡し、現車を確認してもらうのが基本です。
一方で、納車から時間が経過するほど「納車前から存在した傷なのか」「納車後の使用中に生じた傷なのか」という原因の判定は難しくなります。そのため、傷を発見したら、そのまま長期間使用してから申し出るのではなく、早めに販売店へ伝えることが大切です。
例えば8月20日に納車され、8月27日に傷を発見したのであれば、「納車から1週間たったからもう無理」と自己判断するのではなく、発見した日時とそれまでの使用状況を伝えたうえで販売店に確認を依頼する、という進め方が現実的です。
ディーラーが付けた傷かどうかはどのように確認する?
納車前の傷かどうかを判断するうえでは、販売店側に残っている記録が重要になる場合があります。新車はユーザーへ引き渡されるまでに、輸送、保管、用品取付、納車前点検、洗車など複数の工程を経ています。
そのため販売店には、「納車前点検時に外装の確認記録や写真は残っていますか」「納車前にこの部分で何らかの作業をしましたか」などと確認するとよいでしょう。ドライブレコーダーなど自分側に利用できる記録があれば、それも確認材料になります。
ただし、「こんな場所に自分で傷を付けるはずがない」という感覚だけでは、販売店側の責任を確定することは困難です。反対に、販売店側も単に「納車後なので対応できません」とするのではなく、納車前の記録などから確認できることがあります。まずは双方の情報を照合することが重要です。
納車直後に別の不具合が見つかっている場合はどう考える?
納車直後にナビ、リアモニター、電装品などが正常に動作しないケースもあります。例えば、必要なソフトウェア更新や設定が納車前に行われていなかったため、後席モニターが映らなかったという場合です。
このような不備が実際に確認されれば、「納車前の確認は十分だったのか」と購入者が不安になる要因にはなります。ただし、電装品の設定漏れがあったことから、外装の傷も販売店が付けたと直ちに判断できるわけではありません。それぞれ別の事実として確認する必要があります。
販売店には、「モニターの件もあったので納車前点検の状況に不安があります。傷についても納車前の記録を含めて確認していただけませんか」と伝えると、問題点を整理した話し合いがしやすくなります。
新車保証があれば傷も無料で直してもらえる?
ここは混同しやすいポイントです。一般にメーカー保証による故障修理と、外部から付いた傷の補修は同じ扱いではありません。
日産の場合、新車には一般保証と特別保証があり、一般保証は原則として新車登録日から3年間または走行距離6万kmまで、特別保証は5年間または10万kmまでのいずれか早い方とされています。一般保証ではエアコンやカーナビなどの電装系部品などが対象になります。詳しい保証条件は車種や部品によって異なるため、保証書と販売店で確認する必要があります。[参照:日産公式FAQ]
一方、擦り傷などの外装損傷については、「新車だから無条件ですべてメーカー保証で無料修理」というものではありません。重要なのは、その傷が製造上の問題なのか、販売店での作業中に生じたものなのか、それとも納車後の外的要因によるものなのかという原因です。
日産でも傷・へこみを補修するサービスを用意していますが、これは新車保証とは別のサービスです。[参照:日産 クイックプロペイント]
販売店側の原因だと確認できた場合は修理を相談する
販売店の作業記録や傷の状態などから、納車前または販売店での作業中に生じた可能性が確認された場合には、販売店と補修方法について相談することになります。
民法上、引き渡された売買の目的物が契約内容に適合していない場合には、一定の要件のもとで買主が修補などの履行の追完を求める仕組みがあります。法務省の民法改正資料でも、契約不適合がある場合の修補などの追完請求について説明されています。[参照:法務省]
もっとも、小さな傷が見つかったからといって、直ちに新車への交換や契約解除が認められるという意味ではありません。傷の程度、契約内容、原因、修理可能性などによって対応は異なります。軽微な外装傷であれば、まず補修について協議するのが通常の流れになります。
ディーラーと話すときに確認しておきたいこと
販売店との話し合いでは、「絶対にそちらが傷を付けたはずだ」と断定するより、確認事項を具体化したほうが話が進みやすくなります。
- 納車前点検時に傷がなかったことを確認できる記録はあるか
- 納車前に該当箇所付近で作業を行っているか
- 用品取付や洗車などを担当した際の記録があるか
- 傷の状態から原因を推測できるか
- 販売店側の原因だった場合、どのような補修になるか
- 補修した場合の仕上がりや保証はどうなるか
例えばサイドステップ下部の非常に小さな傷なら、どのような物が接触するとその位置に傷が付くのか、整備担当者に実車を見てもらうことも一つの方法です。傷の形状や位置から手掛かりが得られる場合があります。
また、担当営業だけとの口頭のやり取りで終わらせず、必要に応じてサービス担当者や責任者にも確認してもらうとよいでしょう。日時、担当者名、説明内容も簡単に記録しておくと安心です。
納車時には外装と電装品を一緒に確認しておく
今回のような問題を避けるため、新車を受け取る際には外装だけでなく、注文した装備が正常に動くかも確認しておくことが重要です。納車日は説明事項が多いため、チェック項目を事前に作っておくと見落としを減らせます。
| 確認項目 | 主なチェック内容 |
|---|---|
| ボディ | 傷、へこみ、塗装の異常 |
| バンパー・サイドステップ | 擦り傷、下部の傷 |
| ホイール | ガリ傷、汚れ |
| ガラス | 傷、ひび、飛び石跡 |
| ナビ・モニター | 起動、映像表示、接続状態 |
| カメラ | バック・周囲確認カメラの映像 |
| 注文装備 | オプションの装着と動作 |
晴れた明るい場所で車を一周し、気になる箇所があればその場で担当者と確認するのが理想です。納車時に車両全体を写真や動画で撮影しておくことも、後から傷を発見した場合の比較材料になります。
販売店との話し合いで解決しない場合の相談先
販売店と事実関係や対応について話し合っても解決できない場合には、販売会社のお客様相談窓口やメーカーへの相談を検討できます。日産も、使用中の車両の故障・修理などについては購入した販売会社または日産販売店への相談を案内しています。[参照:日産公式FAQ・お問い合わせ]
さらに、契約上のトラブルとして解決が難しい場合には、消費生活センターなど第三者機関へ相談する方法があります。消費者庁はトラブル時の相談先として消費者ホットライン「188」を案内しています。[参照:消費者庁]
相談する際には、売買契約書、注文書、保証書、納車日が分かる資料、傷の写真、販売店とのメールやメッセージ、これまでの経緯を時系列にしたメモなどを準備すると状況を説明しやすくなります。
まとめ:納車後の傷は諦める前に、早めに記録と確認を
新車の納車後に傷を発見した場合、数日経過しているという理由だけで最初から諦める必要はありません。まず傷を写真で記録し、発見日時や納車後の使用状況を整理したうえで、できるだけ早く販売店へ現車確認を依頼することが大切です。
ただし、納車後に発見した傷について販売店側の責任を求めるのであれば、「傷がある」という事実だけでなく「いつ、どのように付いた可能性があるのか」を確認することが重要です。別の納車時不備があった場合でも、それだけで傷の原因まで同じと決めることはできません。
新車は大きな買い物です。小さな傷でも気になるのは当然ですが、原因が分からない段階では決めつけず、写真、納車前点検記録、作業履歴など客観的な情報をもとに販売店と話し合うことが、納得できる解決につながります。


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