街中やツーリングスポットで女性ライダーを見かける機会が以前より増え、「最近バイク女子が増えたのでは?」と感じる人は少なくありません。実際の統計を見ると、女性ライダーが急激に何倍にも増えたと断定できる状況ではないものの、女性の二輪免許取得や新車購入者に占める割合には増加を示すデータがあります。一方で、SNSや動画サイトで女性ライダーの情報発信が増えたこと、ツーリングスポットへ行く女性が可視化されやすくなったことなどによって、「以前よりかなり増えた」と感じやすくなっている面もあります。この記事では、警察庁や日本自動車工業会などの公表資料をもとに、女性ライダーが本当に増えているのか、なぜ街中やツーリング先で目立つようになったのかを整理します。
- 結論:女性ライダーは少しずつ存在感を増していると考えてよい
- 新車購入者でも女性の割合はわずかに上昇している
- 女性の普通二輪・大型二輪免許取得は珍しいものではなくなっている
- ただしバイク市場全体が「女性中心」になったわけではない
- ツーリングスポットでは女性ライダーを見かけやすい
- 女性ライダーが「増えたように見える」理由もある
- SNSやYouTubeで「バイク女子」が可視化された影響は大きい
- 「バイク女子」という言葉自体が定着したことも影響
- コロナ禍で二輪車人気そのものが一時的に高まった
- 二輪免許取得者全体もコロナ禍に大きく増えた
- 若い女性だけが増えているとは限らない
- 小柄でも乗りやすい車種の選択肢が広がっている
- ウェアや用品の女性向けラインナップも充実してきた
- 女性一人でツーリングする人も普通にいる
- 「街乗りで増えた」と「ツーリング人口が増えた」は分けて考える
- ツーリングスポットで2~3人見るのは不思議ではない
- 「バイク女子ブーム」と断定するなら少し注意が必要
- 女性ライダーが増えることはバイク業界全体にもプラス
- まとめ:バイク女子は「爆発的増加」ではないが、以前より増えたと感じるのは自然
結論:女性ライダーは少しずつ存在感を増していると考えてよい
「バイク女子が増えた」という感覚には一定の根拠があります。特に二輪免許を新たに取得する人に占める女性の割合については、近年上昇傾向を示した資料があります。
国土交通省がまとめた資料では、自工会資料をもとに大型二輪・普通二輪免許の新規取得者に占める女性比率を2015年から2023年まで比較しており、女性比率が増加していると整理されています。特に20代以下、30代、40代などで女性の割合が高まっている様子が示されています。[参照:国土交通省 新規運転免許取得者数の推移]
したがって、街中や道の駅、峠、観光地などで女性ライダーを以前より頻繁に見かけるという感覚が、単なる思い込みだけとは言い切れません。
新車購入者でも女性の割合はわずかに上昇している
日本自動車工業会は2年ごとに「二輪車市場動向調査」を実施しており、新車を購入した二輪ユーザーの属性などを調べています。
2023年度調査では、新車購入ユーザーの85%が男性でした。つまり、単純計算では女性が約15%を占めていました。[参照:日本自動車工業会 2023年度二輪車市場動向調査]
2025年度調査では男性が84%となっています。そのため女性は約16%となり、前回より1ポイント程度ですが割合が上昇しています。[参照:日本自動車工業会 2025年度二輪車市場動向調査]
少なくとも新車購入ユーザーの統計では、女性は2023年度の約15%から2025年度の約16%へ微増しています。ただし、この数字だけで「女性ライダーが最近急増した」と表現するのは少し大げさで、より正確には「以前より存在感が高まっている」と考えるのがよいでしょう。
女性の普通二輪・大型二輪免許取得は珍しいものではなくなっている
現在では女性が普通二輪や大型二輪免許を取得すること自体は珍しいことではありません。国土交通省の資料では、大型二輪・普通二輪免許の新規取得者について、女性比率が長期的に上昇してきたことが示されています。[参照:国土交通省]
また、警察庁は毎年、男女別を含む運転免許統計を公表しています。2025年末時点でも女性の大型二輪・普通二輪免許保有者は多数存在しており、二輪免許は男性だけの資格ではありません。[参照:警察庁 運転免許統計]
教習所でも女性向けの足つき相談や小柄な人向けの教習環境が以前より一般的になり、女性が二輪免許へ挑戦する心理的なハードルも下がってきたと考えられます。
ただしバイク市場全体が「女性中心」になったわけではない
女性ライダーを見かける回数が増えていても、日本の二輪市場全体では現在も男性ユーザーが多数派です。
日本自動車工業会の2025年度二輪車市場動向調査では、新車購入ユーザーの84%が男性です。女性は約16%なので、単純に人数だけを比較すれば現在も男性ライダーの方がかなり多い状況です。[参照:日本自動車工業会]
つまり、「最近は女性ライダーが男性と同じくらいいる」というほど市場構造が変わったわけではありません。少数派ではあるものの、以前より見かけやすくなったという表現が実態に近いでしょう。
ツーリングスポットでは女性ライダーを見かけやすい
街中の全ライダーを無作為に数える場合と、道の駅や峠、展望台、観光地などのツーリングスポットで見る場合では、女性ライダーの印象は変わります。
日本自動車工業会の2025年度調査では、オンロードバイクのユーザーを中心に日帰り・宿泊ともツーリング経験率が高く、今後もツーリングをしたいという意向が強いことが示されています。[参照:日本自動車工業会 2025年度二輪車市場動向調査]
例えば休日の有名な道の駅に100台のバイクが集まっていれば、女性の割合が仮に1~2割程度でも、複数人の女性ライダーを目にすることになります。そのため「ツーリング先へ行くと毎回2~3人いる」という光景は十分あり得ます。
女性ライダーが「増えたように見える」理由もある
実際の人数の変化に加えて、女性ライダーが以前より目に入りやすくなったことも「増えた」と感じる理由の一つです。
女性ライダーは男性より人数が少ないため、同じ台数走っていても目立ちやすいという面があります。さらに女性向けデザインのライディングウェアやヘルメットが増え、外見から女性ライダーだと分かりやすくなったことも影響します。
例えばツーリングスポットに男性ライダー30人、女性ライダー3人がいた場合、人数では男性が圧倒的多数ですが、「今日は女性ライダーを3人も見た」と記憶に残りやすくなります。これは実際の増加とは別の「可視性」の問題です。
SNSやYouTubeで「バイク女子」が可視化された影響は大きい
近年のバイク文化で以前と大きく変わったのが、Instagram、X、TikTok、YouTubeなどSNSの存在です。ツーリング写真、納車報告、バイク用品紹介、モトブログなどを女性ライダー自身が発信しやすくなりました。
日本自動車工業会の調査でも、若い二輪ユーザーほどSNSや友人・知人から情報を得る傾向があるとされています。2023年度調査では若年層の情報源として家族やSNSが比較的高く、2025年度調査でも若年層は友人・知人やSNSを情報源として利用する傾向が示されています。[参照:日本自動車工業会 2023年度調査] [参照:日本自動車工業会 2025年度調査]
女性が楽しそうにバイクへ乗っている投稿を見た別の女性が興味を持ち、教習所へ通い、その人がまたSNSで発信するという循環も起こりやすくなっています。
「バイク女子」という言葉自体が定着したことも影響
以前から女性ライダーは存在していましたが、現在ほど「バイク女子」「女子ライダー」という言葉でひとまとめに認識されることは多くありませんでした。
SNS上でバイク女子という言葉が定着した結果、女性ライダーという存在自体を意識する機会が増えています。意識するようになると、実際の道路でも女性ライダーが以前より目に入るようになります。
これは「増えていない」という意味ではありません。実際に女性比率の上昇を示す免許関連データもありますが、実人数の増加と、社会的に目立つようになったことの両方が重なっていると考えるのが自然です。
コロナ禍で二輪車人気そのものが一時的に高まった
女性に限らず、二輪車市場全体でも2020年以降に大きな変化がありました。
日本自動車工業会によると、二輪車需要は2015年度以降30万台台で推移していましたが、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、密を避けられる移動手段として二輪車が注目され、2021年度には需要が42万台を超えました。[参照:日本自動車工業会]
現在はコロナ禍以前の需要水準に戻ってきていますが、その時期に新しく二輪免許を取得したり、バイクを購入したりした人が現在も走っています。
このため、2020~2022年ごろに増えた新規ライダーの一部が女性であり、現在のツーリングシーンでその人たちを目にするという側面も考えられます。
二輪免許取得者全体もコロナ禍に大きく増えた
警察庁の指定自動車教習所卒業者数を見ると、普通二輪の卒業者は2019年の約16万9,000人から、2021年には約21万4,000人まで増加しました。大型二輪も2019年の約7万3,000人から2021年には約9万1,000人へ増えています。[参照:警察庁 令和7年版運転免許統計]
その後は減少しており、2025年の指定教習所卒業者は大型二輪約6万7,000人、普通二輪約16万8,000人となっています。
したがって最近のバイクブームを「今も毎年右肩上がり」と捉えるのは正確ではありません。コロナ期に大きな山があり、そのとき新たにバイクへ乗り始めた人たちが現在も市場に残っている、と見る方が実態に近いでしょう。
若い女性だけが増えているとは限らない
「バイク女子」という言葉から20代前後の女性を想像しやすいですが、実際の女性ライダーは幅広い年代にいます。
日本自動車工業会の2023年度調査では、新車購入者全体の平均年齢は55.5歳で、女性ユーザーの平均年齢も54.0歳でした。[参照:日本自動車工業会]
つまり、女性ライダーの増加・存在感を若い女性だけのブームとして見るのは適切ではありません。若いころに乗っていて再びバイクへ戻ってきたリターンライダーや、40代・50代で初めて免許を取得する女性もいます。
小柄でも乗りやすい車種の選択肢が広がっている
女性がバイクへ入りやすくなった背景には、車両選択肢の広がりもあります。女性だから小排気量しか乗れないわけではありませんが、足つきや車両重量を重視して車種を選びたい人にとって、多様なモデルが存在することは大きなメリットです。
250ccクラスや400ccクラスには比較的軽量なスポーツモデル、ネイキッド、アドベンチャー、クルーザーなどがあり、ローダウンシートやローダウンキットを用意するメーカーもあります。
また、大型バイクでもシート高が低いモデルや重心が低いモデルがあります。「女性にはこの排気量」という固定的な選択ではなく、体格や用途に合わせて車両を選べるようになってきています。
ウェアや用品の女性向けラインナップも充実してきた
以前はバイク用品店へ行っても男性向けサイズやデザインが中心でしたが、現在は女性専用設計のジャケット、パンツ、グローブ、ブーツなどを扱うメーカーが増えています。
プロテクター入りでも普段着に近いデザインのウェアや、女性向けサイズを用意したライディングシューズなども選びやすくなっています。
こうした用品面での選択肢の増加も、「バイクに興味はあるけれど自分向けの商品がない」という障壁を下げる要因になっています。
女性一人でツーリングする人も普通にいる
女性ライダーが増えて見えるもう一つの理由として、女性同士のグループだけでなく、一人でツーリングする人も目立つようになったことがあります。
スマートフォンのナビ、インカム、キャッシュレス決済、宿泊予約アプリなどが普及し、初めての場所でも以前よりツーリング計画を立てやすくなりました。
道の駅や有名ツーリングスポットで女性ライダーを2~3人見かけても、全員が同じグループとは限りません。それぞれが一人で訪れている場合もあり、女性ライダーの行動範囲が広がったことで目にする機会が増えている可能性があります。
「街乗りで増えた」と「ツーリング人口が増えた」は分けて考える
女性ライダーを街中で見かける回数が増えたからといって、全員が趣味のツーリングライダーとは限りません。125ccクラスなどを通勤・通学・買い物の移動手段として使う人もいます。
日本自動車工業会の市場調査でも、スクーターやビジネス系ユーザーは移動の利便性やコストを重視する傾向がある一方、オンロード・オフロードユーザーでは走る楽しさや解放感への期待が強いとされています。[参照:日本自動車工業会]
そのため「女性のバイク利用者が増えた」という現象の中にも、趣味として乗る人と実用目的で乗る人の両方が含まれています。
ツーリングスポットで2~3人見るのは不思議ではない
例えば休日に人気のツーリングスポットへ50人のライダーが集まっているとします。仮に女性が全体の10%なら5人、15%なら7~8人になります。
もちろん日本自動車工業会の女性約16%という数字は「新車購入ユーザー」の調査値であり、そのまま特定のツーリングスポットの男女比を意味するものではありません。それでも、一定規模のライダーが集まる場所で女性を数人見かけること自体はまったく不自然ではありません。
「以前なら一日走って一人見るかどうかだったのに、今は休憩場所ごとに女性ライダーを見る」という印象を持つ人がいてもおかしくない状況になっています。
「バイク女子ブーム」と断定するなら少し注意が必要
一方で、SNS上の印象だけから「現在、女性ライダーが爆発的に増加している」と断定するのは避けた方がよいでしょう。
日本自動車工業会の新車購入者調査では男性比率が2023年度85%、2025年度84%であり、女性割合の変化は約15%から約16%への微増です。[参照:2023年度調査] [参照:2025年度調査]
二輪車需要全体も2021年度をピークに現在はコロナ前の水準へ戻っています。したがって、「女性ライダーだけが今まさに急増してバイク市場全体を押し上げている」というほど単純な状況ではありません。
統計から読み取れるのは、女性が二輪免許を取得する割合が以前より高まり、女性ライダーが社会的にも可視化され、新車購入者でも一定の割合を占め続けているということです。
女性ライダーが増えることはバイク業界全体にもプラス
バイク人口は長期的には高齢化が課題になっています。日本自動車工業会の2025年度調査では、新車購入ユーザーの平均年齢が56.5歳、40代以下の構成比が21%となっています。[参照:日本自動車工業会]
その中で女性や若年層など、従来とは異なる層が新しくバイクへ興味を持つことは、二輪市場の裾野を広げる意味があります。
利用者が多様化すれば、軽量車、足つきの良い車両、女性サイズを含むライディング用品、ツーリング向けサービスなどの商品開発も進みやすくなり、結果として男性ライダーを含めた全ユーザーにメリットが広がる可能性があります。
まとめ:バイク女子は「爆発的増加」ではないが、以前より増えたと感じるのは自然
最近、街中やツーリングスポットで女性ライダーを頻繁に見かけるという感覚には一定のデータ上の裏付けがあります。国土交通省がまとめた資料では、大型・普通二輪免許の新規取得者に占める女性比率が2015年から2023年にかけて増加傾向にあることが示されています。[参照:国土交通省]
また、日本自動車工業会の新車購入者調査では、男性の割合が2023年度85%から2025年度84%へ変化しており、女性は単純計算で約15%から約16%へ微増しています。[参照:2023年度二輪車市場動向調査] [参照:2025年度二輪車市場動向調査]
したがって、「バイク女子が最近ものすごい勢いで急増している」とまでは断定できませんが、「以前より女性ライダーの割合や存在感が高まり、街やツーリングスポットで見かけやすくなった」という見方はかなり妥当です。
さらにSNSやYouTubeによって女性ライダーが可視化されやすくなったこと、コロナ禍に二輪免許取得者・二輪需要全体が増えたこと、女性向け用品や乗りやすい車種の選択肢が広がったことなども、体感的な増加を後押ししていると考えられます。
現在も二輪車ユーザーは男性が多数派ですが、休日の人気ツーリングスポットで女性ライダーを2~3人、あるいはそれ以上見かけることは特に珍しい光景ではなくなっています。「最近よく見るようになった」というライダーの実感は、統計と社会環境の両面から見ても十分説明できる変化といえるでしょう。


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