カーオーディオ用のデッドニングキットには、小さな四角形や短冊状の「ポイント制振材」が付属していることがあります。大きな制振シートでドアのサービスホールを塞ぐ施工とは役割が少し異なり、ポイント制振材はスピーカー周辺やインナーパネルなど、振動・共振・ビビリが大きい部分を狙って貼るための部材です。製品によっては説明書どおりスピーカー周辺へ配置すればよい簡易タイプもあれば、実際に音を出して振動の強い位置を探して施工するタイプもあります。つまり「決まった一点を特殊な方法で特定しなければならない」というものではなく、製品の施工方法に従いつつ、必要なら低音を再生して手で振動を確認するのが基本です。
- ポイント制振材の役割はドアパネルの共振やビビリを抑えること
- スピーカー周り用キットなら、まずスピーカー近くの鉄板に貼ればよい
- 場所を特定したいなら、実際に低音を鳴らして手で触る方法が正しい
- どんな音を鳴らせば振動箇所を見つけやすい?
- 手で触って「よく揺れる場所」を探すのがポイント
- 「コンコン叩いて響く場所」を探す方法も補助的に使える
- ポイント制振材と大きな制振シートは施工目的が違う
- スピーカー本体に貼るタイプもあるので説明書を確認する
- 貼る前には必ず脱脂し、貼った後は強く圧着する
- ドア内部の可動部や排水経路は塞がない
- 左右同じ場所に貼らなくても問題ない
- 具体例:5枚あるならどのように貼る?
- 貼りすぎれば必ず音が良くなるわけではない
- まとめ:ポイント制振材はスピーカー周辺の「よく振動する場所」を狙って貼る
ポイント制振材の役割はドアパネルの共振やビビリを抑えること
車のドアスピーカーを鳴らすと、スピーカーそのものだけでなく、取り付けられているドアの鉄板や周囲の部品にも振動が伝わります。その振動が大きいと、低音に合わせて鉄板が共振したり、内張りや配線がビリビリ鳴ったりして、音が濁る原因になります。
ポイント制振材は、そのような振動しやすい場所へ小面積で貼り付け、パネルの振動を減衰させるものです。エーモンもポイント制振材について、スピーカー周辺などの激しい振動やサービスホールを塞いだ部分の補強に効果を発揮する部材として案内しています。[参照]
そのため、ドア全面を覆う必要はありません。大きく振動している場所をピンポイントで抑える、いわば「振動止めの追加パッチ」と考えると分かりやすいでしょう。
スピーカー周り用キットなら、まずスピーカー近くの鉄板に貼ればよい
「スピーカー周辺簡単モデル」などの簡易デッドニングキットに入っているポイント制振材は、基本的にスピーカー近くのインナーパネルへ貼ることを想定しています。
エーモンの施工例では、左右のドアにポイント制振材を分けて使用し、スピーカー周辺へ貼り付ける方法が案内されています。また、左右のドアで完全に同じ位置に貼る必要はないとされています。[参照]
例えば5枚ずつ入っている場合なら、スピーカー取付穴の周辺にある比較的広い平面部へ分散させて貼るイメージです。「スピーカーから何cm」という絶対的な位置が決められているわけではない製品も多く、周囲のパネル形状を見ながら配置します。
場所を特定したいなら、実際に低音を鳴らして手で触る方法が正しい
より効果的な場所を探したい場合は、実際にスピーカーから音を出して振動を確認する方法があります。これは自己流というより、メーカーの正式な施工方法としても使われています。
エーモンの本格的なデッドニングキットでは、テスト信号を再生しながらインナーパネル全体を手で触り、振動の大きな場所へポイント制振材を貼るよう案内されています。[参照]
したがって「スピーカーから音を出して探すのですか?」という疑問については、はい、振動の強い場所を狙うタイプなら、低音を鳴らしてパネルを手で触りながら探す方法が適切です。
どんな音を鳴らせば振動箇所を見つけやすい?
普段聞いている音楽でも確認できますが、振動位置を探すなら低音が連続して出る音源の方が分かりやすくなります。
エーモンの施工説明では、共振しやすい低音、振動の大きな低音、低音から高音まで変化するテスト信号などを利用し、パネルや部品の振動・ビビリを確認する方法が示されています。[参照]
専用テストCDがなくても、低音が一定に続く曲やスイープ音などを使えます。ただし音量を上げすぎてスピーカーを歪ませる必要はありません。普段より少し大きめ程度から始め、振動の差が分かる音量で確認します。
手で触って「よく揺れる場所」を探すのがポイント
内張りを外した状態で音を鳴らし、スピーカー周辺のインナーパネルへ軽く指や手のひらを当ててみます。すると、ほとんど振動しない場所と、低音に合わせてブルブル大きく揺れる場所が分かることがあります。
その中でも振動が大きい平面部分や、ビビリ音が発生している付近がポイント制振材の候補です。エーモンも、振動やビビリの大きい箇所へポイント制振材を貼るよう案内しており、強弱が分かりにくい場合はスピーカー周辺へ貼る方法を示しています。[参照]
つまり、特定できれば振動の強い場所を優先し、よく分からなければメーカー推奨どおりスピーカー周辺へ分散して施工すればよい、という考え方です。
「コンコン叩いて響く場所」を探す方法も補助的に使える
音を鳴らさなくても、ドアパネルを指の関節などで軽く叩き、響き方を比較する方法があります。
「コンコン」と硬く短い音がする部分より、「カーン」「ボーン」と響きが長く残る薄い平面部分は共振しやすい傾向があります。そのような位置へ制振材を貼ると、貼付前後で響きが変化することがあります。
ただし、叩いた音だけですべてを判断する必要はありません。実際にスピーカーを鳴らしたときに振動する位置と必ず一致するとは限らないため、可能であれば最終的には再生中の振動を確認すると確実です。
ポイント制振材と大きな制振シートは施工目的が違う
デッドニングでよく見る「ドアの穴を大きなシートで塞ぐ作業」とポイント制振材は、同じ制振系の素材でも使い方が異なります。
| 部材 | 主な施工場所 | 目的 |
|---|---|---|
| ポイント制振材 | スピーカー周辺、振動の大きい場所 | 局所的な共振・ビビリを抑える |
| インナーパネル用制振シート | サービスホール、広い平面部分 | パネル全体の振動や音漏れを抑える |
| スピーカー背面吸音材 | スピーカー背後のアウターパネル | 背面音の反射を吸収する |
| スピーカー周辺防音テープ | スピーカー外周 | 内張り側へ音を効率よく導き、音漏れを抑える |
エーモンの施工例でも、スピーカー背面吸音材、防音テープ、ポイント制振材はそれぞれ別の場所へ施工されています。[参照]
スピーカー本体に貼るタイプもあるので説明書を確認する
注意したいのは、「ポイント制振材」という名称でも商品によって指定箇所が異なることです。パネル側へ貼る製品が一般的ですが、キットによってはスピーカーのフレーム部分へ貼るよう指定されているものもあります。
この場合もスピーカーの振動板やエッジなど、実際に動く部分へ貼ってはいけません。エーモンの説明書でも、ポイント制振材をスピーカーフレーム部分へ施工する例について、振動板・エッジなどの可動部分へ絶対にかからないよう注意されています。[参照]
したがって「ポイント制振材=必ずドア鉄板に貼る」と決めつけず、まず製品番号と説明書を確認してください。付属品なら、そのキットに最適化された指定位置を優先するのが基本です。
貼る前には必ず脱脂し、貼った後は強く圧着する
制振材は、ただ置くように貼るだけでは十分な効果を発揮できません。油分、水分、ホコリが残っていると粘着面が密着せず、夏場の高温などで剥がれる原因になります。
施工箇所をパーツクリーナーなどで脱脂して乾燥させ、位置を決めてから貼り付けます。その後、付属のヘラなどで中心から外側へしっかり押し付けて圧着します。エーモンもポイント制振材について、貼付後にヘラで十分圧着するよう案内しています。[参照]
特に凹凸部分へ無理に橋渡しするように貼るより、比較的平らで密着させやすい面へ施工する方が確実です。
ドア内部の可動部や排水経路は塞がない
ドアの中にはパワーウインドウのガラス、レギュレーター、ワイヤー、ロッドなどの可動部があります。ポイント制振材がこれらに接触すると故障や動作不良の原因になるため、干渉しないことを確認します。
またドア内部には雨水が入ることを前提とした排水構造があります。排水穴を制振材で塞いだり、剥がれた材料が内部へ落下するような施工は避ける必要があります。
スピーカー周辺であっても、ネジ穴、クリップ穴、配線コネクター、内張りが接触する重要部分などを無理に覆わないよう注意しましょう。
左右同じ場所に貼らなくても問題ない
運転席側と助手席側で「完全に左右対称に貼らなければ音がおかしくなるのでは」と考えることがありますが、ポイント制振材の場合は必ずしも左右同位置である必要はありません。
実際にエーモンの施工説明でも、左右ドアの貼り付け位置は対称でなくてもよい旨が示されています。[参照]
ドア内部は左右で配線や部品配置が異なることもありますし、振動の強い位置も完全には一致しません。それぞれのドアを実際に触って確認し、必要な場所へ貼る方がポイント制振材の目的に合っています。
具体例:5枚あるならどのように貼る?
例えば片側のドアに5枚使える場合、まずスピーカーを鳴らしてスピーカー周辺のパネルを触ります。スピーカー取付部の上側、下側、前後などで振動が強い位置が見つかれば、そこへ優先的に1枚ずつ施工します。
残りは、広い平面部でよく振動する場所や、低音を鳴らしたときにビビリが発生する付近へ使います。既に大きな制振シートを貼っている場合、そのシートの上からポイント制振材を重ねて補強できる製品もあります。エーモンも、そのような重ね貼りを認める施工例を公開しています。[参照]
一方、簡易キットで説明書に貼付位置が指定されているなら、その指定を優先します。最初から細かい共振箇所を追い込まなくても、スピーカー周辺へ適切に配置するだけで目的を果たせるよう設計されている製品もあります。
貼りすぎれば必ず音が良くなるわけではない
制振材は多ければ多いほど良いわけではありません。ドア全体を必要以上に重くすると、ドアヒンジへの負担が増えたり、施工コストが大きくなったりします。
またカーオーディオの音は制振だけで決まるものではありません。スピーカーの固定状態、インナーバッフル、背面吸音、内張りとの密着、スピーカー自体の性能やイコライザー設定なども影響します。
ポイント制振材は名前のとおり「ポイント」で使い、振動が収まったら必要以上に追加しないのが合理的です。
まとめ:ポイント制振材はスピーカー周辺の「よく振動する場所」を狙って貼る
ポイント制振材は、基本的にはスピーカー周辺のインナーパネルなど、音を鳴らしたときに振動・共振・ビビリが大きい部分へ貼るものです。大きなシートでサービスホール全体を塞ぐデッドニングとは目的が少し異なり、局所的に振動を抑えるために使います。
場所を特定する場合は、低音を含む音源をスピーカーから再生し、内張りを外したドアパネルへ手を当てて振動の大小を確認する方法が有効です。メーカーの施工方法でも、テスト信号を鳴らしながら手で振動を確認して、振動の大きな場所へポイント制振材を施工する方法が案内されています。[参照]
ただし、振動位置を細かく特定しにくい場合は、スピーカー周辺へ分散して貼ればよいと案内されている製品もあります。また製品によってはスピーカーフレームへの貼付を指定するものもあるため、最初に付属説明書の指定位置を確認し、そのうえで必要なら音を鳴らして追い込むのが最も確実です。
施工時は脱脂と圧着を十分に行い、スピーカーの振動板・エッジ、パワーウインドウなどの可動部、配線、排水部には干渉させないようにします。左右ドアで貼付位置が多少異なっても問題なく、それぞれ実際に振動している場所を優先して施工するのがポイントです。


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