カーナビのBluetoothで曲送り・曲戻しができない原因は?「Not Provided」表示とAVRCP設定を解説

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カーナビとスマートフォンをBluetooth接続すると音楽は流れるのに、ナビ側の「次の曲」「前の曲」ボタンが反応しなかったり、曲名・Track欄に「Not Provided」と表示されたりすることがあります。この症状は、単純にBluetoothのペアリングに失敗しているとは限りません。音楽そのものを送る機能と、曲送り・曲戻し・曲名情報をやり取りする機能はBluetooth上で別の役割を持っているため、音声だけ正常に再生でき、リモコン操作や楽曲情報だけ正常に動かないことがあります。特に確認したいのが「AVRCP」というBluetoothプロファイル、スマートフォン側の音楽アプリ、カーナビとの互換性です。

音楽が流れるのに曲送りだけできないのはなぜ?

Bluetoothオーディオでは、スマートフォンからカーナビへ音声を送る機能と、カーナビからスマートフォンへ再生・一時停止・曲送りなどの命令を送る機能は役割が分かれています。

音楽再生では主にA2DPと呼ばれる仕組みが使われ、曲送り・曲戻し・楽曲情報などの操作にはAVRCP(Audio/Video Remote Control Profile)が使われます。Bluetooth SIGもAVRCPについて、Bluetooth機器間でオーディオ・ビデオ機器を遠隔操作するためのプロファイルとして規格化しています。[参照]

そのため「スマートフォンから音は出る」「ボリュームは変更できる」という状態でも、AVRCPによる制御だけがうまく成立していなければ、曲送り・曲戻しや曲名表示だけが使えないことがあります。

「Track Not Provided」は何を意味する?

カーナビのTrack欄などに「Not Provided」と表示される場合、一般的にはスマートフォン側からカーナビへ、その項目の楽曲情報が正常に渡されていない状態を意味します。

BluetoothのAVRCPでは、曲名、アーティスト名、アルバム名、トラック番号、総トラック数、ジャンル、再生時間などのメディア情報を扱う仕組みがあります。Bluetooth SIGの仕様でも、Title、Artist、Album、Track Numberなどがメディア属性として定義されています。[参照]

ただし、Bluetooth SIGのAVRCP仕様では、端末側のメディアプレーヤーやBluetoothスタックとの連携状況によって、すべてのメタデータが利用できるとは限らないことも示されています。[参照]

つまり「Not Provided」と出ていても、Bluetooth接続そのものが完全に失敗しているという意味ではありません。音声はA2DPで正常に届いている一方、AVRCPによる情報取得だけに問題がある可能性があります。

一度だけ曲送りが使えたなら故障とは限らない

普段は曲送りできないのに一度だけ正常に動いた、という場合は、物理的なボタン故障よりも接続時の認識状態、スマートフォン側のアプリ、AVRCPの互換性などが関係している可能性があります。

例えば車のエンジンを始動した直後にスマートフォンが自動接続した場合と、スマートフォン側から手動接続した場合で挙動が変わったり、先に音楽アプリを起動していたかどうかによって曲情報の取得状態が変化したりすることがあります。

一度でもナビの曲送りボタンがスマートフォンを操作できたのであれば、少なくともナビ側にその機能自体が搭載されている可能性は高くなります。ただし、対応状況はナビの機種・スマートフォン・OS・アプリの組み合わせによって異なります。

まず試したいのはスマホとナビ両方のBluetooth登録削除

単純な再ペアリングで改善しない場合でも、「スマートフォン側だけ削除して再接続」では登録情報が完全に初期化されないことがあります。

一度、スマートフォン側からカーナビの登録を削除し、カーナビ側からもスマートフォンの登録を削除します。その後、スマートフォンとナビを再起動してから最初からペアリングすると改善することがあります。

Androidの公式ヘルプでも、Bluetooth機器は一度ペアリングすると登録情報を使って自動的に接続する仕組みになっています。[参照]接続情報に不整合が起きている疑いがある場合は、双方から登録を消して作り直すのが基本的な切り分け方法です。

Bluetooth設定で「メディアの音声」が有効か確認する

Androidスマートフォンでは、Bluetooth機器ごとに「通話」「メディアの音声」などを個別に有効・無効にできる機種があります。

カーナビのBluetooth設定画面を開き、「メディアの音声」「オーディオ」などが有効になっているか確認しましょう。ナビによっては電話用Bluetoothとオーディオ用Bluetoothを別々に登録・選択するものもあります。

音楽自体が再生できている場合はメディア接続自体は有効である可能性が高いものの、ナビ側に「Bluetooth Audio」「Audio Player」など別の接続機器選択画面がある場合には、そこで使用するスマートフォンが正しく指定されているかも確認します。

AndroidならAVRCPバージョン変更で改善することがある

Androidと古めのカーナビの組み合わせでは、スマートフォン側が使うAVRCPのバージョンとナビ側の対応状況が合わず、曲名が表示されなかったり、曲送りが機能しなかったりすることがあります。

Androidの一部機種では「開発者向けオプション」にBluetooth AVRCPバージョンという設定があります。例えばAVRCP 1.5や1.6で正常に動かない場合、1.4などへ変更すると古いカーオーディオとの互換性が改善するケースがあります。逆に古い設定から新しいバージョンへ変更して改善するケースもあるため、必ず「低くすれば直る」というものではありません。

GoogleのPixelコミュニティでも、車載Bluetoothで楽曲情報が表示されないケースについてAVRCPバージョン変更で改善した例が報告されています。ただしコミュニティ情報であり、すべてのAndroid端末やカーナビに有効な公式保証された対処法ではありません。[参照]

AVRCP設定を変更するときの手順

Androidでは機種によって名称が多少異なりますが、一般的には「設定」→「デバイス情報」などからビルド番号を複数回タップして開発者向けオプションを有効にし、その中から「Bluetooth AVRCPバージョン」を探します。

現在1.5や1.6の場合は1.4などを試し、設定変更後にBluetoothを一度切断してスマートフォンを再起動し、カーナビと再接続します。改善しなければ元の設定へ戻してください。

AVRCPの変更はAndroidでの代表的な切り分け方法ですが、ナビの機種によって適切なバージョンが違うため、むやみに複数の開発者向け設定まで変更する必要はありません。

音楽アプリによって曲送りできる・できないが変わることもある

Bluetoothの曲送り機能はスマートフォンのOSだけではなく、再生中の音楽アプリ側にも影響されます。

例えばSpotifyではうまく動かないがApple MusicやYouTube Musicでは正常に曲送りできる、あるいはその逆といったケースがあります。また、通常のプレイリストでは曲送り可能でも、ラジオ、ライブ配信、動画、広告などでは「次の曲」という概念がなく、ナビ側から操作できない場合があります。

切り分けには、普段使っているアプリだけで判断せず、スマートフォン標準の音楽アプリや別の音楽アプリでも試す方法が有効です。別アプリなら曲名表示と曲送りが正常なら、Bluetooth接続全体ではなく特定アプリとの相性が原因と考えやすくなります。

「戻る」だけ反応しない場合は曲の再生位置にも注意

前の曲ボタンは、音楽プレーヤーによって動作が少し異なることがあります。曲の途中で一度押すと「現在の曲の先頭へ戻る」、もう一度押すと「前の曲へ戻る」という仕様です。

例えばiPhoneのミュージックでも、前のトラック操作は再生状態によって現在の曲の先頭へ移動した後、再度操作すると前の曲へ移る動作があります。[参照]

一方、「次へ」までまったく反応しない場合は、この仕様では説明できないため、AVRCPやアプリ側の問題を疑う方が自然です。

スマホのOS更新後に突然使えなくなることもある

以前は普通に使えていたのに最近急に曲送りや曲名表示だけ使えなくなった場合、スマートフォンのOSアップデートや音楽アプリの更新が影響していることもあります。

Bluetoothはナビとスマートフォン双方の実装がかみ合って動くため、スマートフォン側のBluetooth仕様やAVRCPの処理が更新されることで、古いカーナビとの組み合わせに不具合が出るケースがあります。

反対に、スマートフォンまたはナビのソフトウェアアップデートによって改善するケースもあります。ナビに更新プログラムが提供されている場合は、メーカー公式サイトで型番を検索し、Bluetooth関連の更新情報がないか確認するとよいでしょう。

別のスマートフォンを接続すると原因を切り分けやすい

原因がナビなのかスマートフォンなのか分からない場合、家族などの別のスマートフォンを一時的にペアリングして試すと非常に分かりやすくなります。

例えば別のiPhoneやAndroidでは曲名が表示され、ナビの次・前ボタンも正常に使えるのであれば、ナビ本体の故障より、元のスマートフォン側の設定・OS・アプリとの互換性を疑えます。

逆に複数のスマートフォンで同じように「Not Provided」となり、曲送りもできなければ、カーナビ側の設定・仕様・ソフトウェア、あるいはAVRCP対応範囲を確認する価値が高くなります。

カーナビ自体が曲送りや楽曲情報表示に対応していない場合もある

Bluetooth対応カーナビだからといって、すべてのBluetooth機能に対応しているとは限りません。

Bluetooth SIGではAVRCPにも複数のバージョンがあり、機器によって実装する機能が異なります。[参照]古いナビではBluetoothオーディオ再生と再生・停止には対応していても、曲名取得や高度なブラウジング機能の対応範囲が限定されることがあります。

そのため最終的にはカーナビの取扱説明書で「Bluetooth Audio」「AVRCP」「対応プロファイル」などの項目を確認するのが確実です。取扱説明書にAVRCPの対応バージョンが記載されていれば、スマートフォンとの相性判断にも役立ちます。

おすすめの確認順序

原因を一つずつ切り分けるなら、次の順番で確認すると効率的です。

  1. スマートフォンとナビを再起動する
  2. ナビ側・スマートフォン側の両方からBluetooth登録を削除する
  3. 再度ペアリングする
  4. スマートフォンのBluetooth設定でメディア音声が有効か確認する
  5. 別の音楽アプリで曲送り・曲名表示を試す
  6. 別のスマートフォンでも試す
  7. AndroidならAVRCPバージョン変更を試す
  8. スマートフォン・音楽アプリ・カーナビの更新を確認する
  9. ナビの取扱説明書でAVRCP対応状況を確認する

この方法なら「ナビ本体」「スマートフォン」「Bluetooth設定」「音楽アプリ」のどこに原因があるのかをかなり絞り込めます。

まとめ:音が出るのに曲送りできないならAVRCPを確認しよう

カーナビのBluetoothで音楽は正常に流れ、ボリュームも操作できるのに、曲戻し・曲送りが反応せず「Track Not Provided」と表示される場合、Bluetoothそのものが接続されていないというより、AVRCPによるリモコン操作・楽曲情報の通信だけが正常に機能していない可能性があります。

Bluetoothでは音楽ストリーミングとリモコン操作が別の機能として扱われており、AVRCPは再生操作やメディア情報のやり取りを担う規格です。[参照]

まずはナビとスマートフォン双方のBluetooth登録を削除して再ペアリングし、別の音楽アプリでも試します。Androidの場合は、機種によって開発者向けオプションにある「Bluetooth AVRCPバージョン」を変更することで古いナビとの互換性が改善することもあります。ただし適切なバージョンは機種の組み合わせによって異なるため、改善しなければ元に戻してください。

また、一度だけ正常に曲送りできた経験があるなら、ボタン自体の故障と決めつける必要はありません。接続タイミングやアプリ、AVRCPの認識状態による一時的な相性問題も考えられます。別のスマートフォンでも同じ症状になるかを試し、最終的にはカーナビの型番から取扱説明書に記載されたAVRCP対応バージョンを確認するのが最も確実です。

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