マニュアルトラックを運転するうえで欠かせない技術の一つに「ブリッピング」があります。普段乗用車を運転している方にとっては馴染みのない操作ですが、トラックでは極めて重要な役割を果たします。本記事では、ブリッピングの基本とトラック運転での必要性について詳しく解説します。
ブリッピングとは何か?
ブリッピングとは、ギアを下げる際にエンジン回転数を一時的に上げてシフトショックを和らげ、スムーズな変速を実現するテクニックです。特にマニュアルトランスミッション車で多用されます。
具体的には、クラッチを切った状態でアクセルを軽くあおってエンジン回転数を高めてからギアを落とすことで、回転差をなくしスムーズなギアチェンジを可能にします。
なぜトラックではブリッピングが必要なのか
大型トラックや中型トラックでは、ギア比が広く、エンジン回転数と車速のマッチングが非常に重要です。ギアチェンジ時に回転数が合わないと、ギアがうまく入らずミッションに大きな負担をかけることになります。
また、トラックはエンジンブレーキを活用する機会も多く、下り坂や荷物を積んでの減速時には、シンクロ機構が無いまたは弱いトランスミッション車ではブリッピングが必須とされます。
実例:ノンシンクロトラックの運転経験
実際に10tクラスのノンシンクロ車(通称:ダブルクラッチ仕様)を運転していたドライバーの話によると、ブリッピングをしないとそもそもギアが入らず、シフトが刺さらないとのこと。
「特に4速から3速へのシフトダウンでは、きちんと回転合わせをしないとバキバキとギア鳴りしてしまう」との証言もあり、操作ミスが車両の損耗にもつながることが分かります。
現代のトラックではどうか?
最近のトラックにはイージードライブ機能付きのマニュアルやAMT(自動変速式マニュアル)も増えており、これらの車両ではブリッピング操作が自動で行われます。しかし、マニュアル式の旧型トラックや教習車などでは依然としてブリッピングが必須です。
特にドライバー歴が浅い方や教習中の方は、クラッチ操作と同時にブリッピングを体得する必要があります。
ブリッピングを上達させるコツ
- まずはアクセルを「軽くあおる」感覚を掴む
- エンジン音と回転計を同時に見ながら調整
- クラッチを切る→アクセルあおり→クラッチつなぐの一連動作を練習
- ダブルクラッチ操作(ブリッピング+再クラッチ)もセットで覚える
教習所の教官によれば、「無理に高回転まで上げる必要はなく、2000〜3000回転に軽く合わせる程度でよい」とのアドバイスがあります。
まとめ
ブリッピングはトラック運転における基本操作の一つであり、特にマニュアルトランスミッション車ではギアの入りをスムーズにし、車両の故障リスクを減らすうえでも非常に重要です。慣れれば自然にできるようになりますが、最初はエンジン音と回転数を意識して丁寧に行うことが大切です。新型の自動化されたトラックには必要ない場合もありますが、旧型や教習用車両では今なお必須の技術といえるでしょう。
コメント