交通死亡事故でも免許取消にならない場合はある？行政処分と刑事責任の違いをわかりやすく解説

交通事故の中でも最も重い結果となる「死亡事故」。運転者には重い責任が課されることが多いですが、実は事故の状況や過失の有無によっては、免許取消にならないケースも存在します。本記事では、そうしたケースがどのようなものか、また処分の根拠について詳しく解説していきます。

免許取消や減点の根拠となる法律とは？

交通事故による処分は、「行政処分」と「刑事処分」に分かれます。行政処分とは運転免許の停止や取消、違反点数の加算などを指し、これは警察や運輸局によって行われます。刑事処分は罰金や懲役といった刑罰で、裁判所が判断します。

行政処分の点数制度は「交通違反の累積点数」や「事故の種別（人身・物損など）」によって変動します。死亡事故を起こした場合、通常は重大違反とされ、高い点数が付与されることになります。

しかし、すべての死亡事故が一律に処分されるわけではありません。加害者に過失が一切なかった場合、例えば信号無視の歩行者が飛び出してきたケースなどでは、「免許取消にならない」「点数が付かない」こともあります。

このような場合、事故を起こした事実そのものよりも、運転者にどの程度の注意義務違反があったかが問われます。警察の事故調査や実況見分の結果により「非違反（過失なし）」と判断されることもあるのです。

たとえば、郊外の幹線道路を法定速度で走行中、横から無灯火で横断してきた歩行者をはねてしまったという事例。防犯カメラやドライブレコーダーの映像から、運転者に回避可能性がなかったと判断され、点数加算も免許取消も行われませんでした。

一方、少しでもスピード超過や脇見運転などがあれば、それが「過失」とされ、重い処分につながることになります。

行政処分が免除されても、刑事処分が行われることもあります。例えば業務上過失致死として書類送検されることがありますが、結果として不起訴となることもあります。

また、遺族との示談成立や民事訴訟での賠償が別途必要になるケースもありますので、処分が軽い＝責任が軽いというわけではないことに注意が必要です。

死亡事故の加害者となった場合、まずは警察の事情聴取に正確に応じ、記憶が曖昧な場合は口頭ではなく記録や映像をもとに説明することが大切です。

また、弁護士や交通事故専門の行政書士に相談することで、過失割合や将来の処分に備える準備ができます。

たとえ死亡事故であっても、運転者に過失がなかったと認定されれば、免許取消や点数加算が行われないこともあります。重要なのは、事故発生後に適切な対応を取り、自身の無過失を立証できるかどうかです。

万が一に備えてドライブレコーダーの導入や保険加入の見直しを行い、安全運転を心がけることが、最も重要な予防策です。