かつて日本の高速道路では、大型トラックが驚くべきスピードで走行していたという話が都市伝説のように語られることがあります。特にリミッターが義務化される以前、時速130~140kmで走っていたという証言も存在します。この記事では、その背景や真偽、リミッター義務化の経緯、安全性への影響などについて詳しく掘り下げます。
大型トラックに速度リミッターが義務化されるまでの歴史
大型トラック(車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上)への速度リミッター(スピードリミッター)の装着が義務化されたのは2003年9月からです。この制度は、交通事故の抑止と高速道路の安全性向上を目的として導入されました。
義務化以前は、一部の高出力車両やチューニングされた車両では、時速130km以上を出せるケースもあったとされており、運送会社やドライバーの間でも「スピードで荷を早く届ける」ことが評価される風潮が一部に存在していたことは否めません。
130〜140km/h走行は本当にあったのか?
事実として、2000年代初頭までは速度リミッターが法的に義務づけられていなかったため、車両によってはそれ以上の速度が可能でした。また、証言やインタビューの中には「深夜の東名高速で140km/h近く出していた」という現役または元ドライバーの話もあります。
ただし、すべてのトラックがそうだったわけではなく、実際にそれだけのスピードを出せるのは限定された車両や条件に限られていたと考えられます。タイヤの規格、安全基準、車両重量なども制限要因です。
リミッター義務化後の変化と影響
2003年以降に販売された大型トラックには、90km/hに制限するリミッターの装着が義務づけられています。これにより、高速走行による重大事故のリスク軽減や、車両の燃費改善が進んだと言われています。
一方で、スケジュールに追われるドライバーにとっては「時間に余裕が持てなくなった」「抜かれっぱなしでストレスがたまる」といった声もありました。
実際にリミッター以前に起きていた問題
例えば1990年代後半には、深夜の高速道路で大型トラックが無理な車線変更や高速走行で乗用車と事故を起こすケースが報道されており、リミッター義務化の機運を高める要因となりました。
また、法定速度を大幅に超えた走行によってタイヤバーストやブレーキ過熱による事故も散見されていたため、リミッターの導入は業界全体の安全性向上に寄与する結果となったのです。
現代のトラックと安全基準の進化
現在の大型トラックは、リミッターだけでなく、自動ブレーキ、車線逸脱警報、ドライバーモニタリングなど高度な安全装備が搭載されています。特に、運転支援システムが進化したことにより、事故防止とドライバーの負担軽減が図られています。
また、燃費性能やエコドライブ支援の観点からも、一定の速度での走行が望ましいとされ、かつてのような“スピード重視”の文化は減少傾向にあります。
まとめ:過去と現在の比較で安全意識の変化を理解する
かつて一部の大型トラックが130~140km/hで走行していたという話には、一定の信ぴょう性がありますが、それは一部のドライバーや状況に限られていたと考えるべきです。
現在ではリミッターや各種安全装備の導入により、トラック業界全体が安全性を重視する方向へと変化しています。過去のスピード感覚に頼るのではなく、現代の基準に即した安心・安全な運転を心がけることが求められています。
コメント