車を乗り換えた際、以前の愛車で使用していたホイールを新しい車に装着できないかと考える方は多いものです。しかし、ホイールの互換性には注意点が多く、特にPCD(ピッチサークル直径)の違いは重要なポイントです。この記事では、異なるPCDを持つホイールを他車種に装着する際の可否と注意点について詳しく解説します。
ホイールのPCDとは何か?
PCD(Pitch Circle Diameter)は、ホイールのボルト穴の円の直径を指し、5H-114.3などと表記されます。例えばPeugeot 508は5H-108、トヨタGRスープラ(90系)は5H-112です。このようにPCDが異なると、そのままではホイールを装着することはできません。
また、PCDに加えて、ホイールのインセット(+48など)やリム幅(9Jなど)も装着の可否に大きく関わります。
PCD変換スペーサーによる装着は可能か?
PCD変換スペーサーを使用すれば、異なるPCD間でのホイール装着は技術的には可能です。たとえば、5H-108のホイールを5H-112の車に取り付ける変換スペーサーは存在します。
ただし、変換スペーサーは厚み(最低でも15mm以上)があるため、ホイールがフェンダーからはみ出すリスクや、ハンドルを切った際の干渉リスクもあります。また、センターハブの径が異なる場合はハブリングや追加加工が必要となる場合もあります。
ホイール加工によるPCD変換はどうなのか?
ホイールの加工、すなわちボルト穴の再加工(PCD加工)も理論上は可能です。しかしこれは構造的強度を損なうリスクが高く、安全性の観点からは非推奨です。
特に9Jのリム幅で20インチというサイズでは、わずかなバランスの乱れが走行安定性に大きく影響します。PCD加工は信頼できる専門業者でも施工後に保証が付かないことが多く、公道での使用が不安視されるケースが一般的です。
実例:PCD変換スペーサーを使用した装着事例
例えば、BMWやベンツ用のホイール(5H-112)を国産車(5H-114.3)に取り付けるため、PCD変換スペーサーを用いた装着事例は多数あります。しかし、スペーサーの厚みによりナットのかかり代が不足したり、足回りパーツに干渉するなど、セッティングには細心の注意が必要です。
このような加工・装着は、実績のある専門ショップで事前に寸法測定を行い、プロによる判断を仰ぐことが重要です。
保安基準や車検への影響
変換スペーサーは保安基準適合品であれば車検も通る場合があります。しかし、装着状態によっては「はみ出し」「干渉」「強度不足」などにより通らない場合もあるため、陸運局公認の整備工場での事前確認が不可欠です。
また、ホイールのPCD加工はそもそも安全基準を満たさないと見なされる可能性が高く、原則として推奨されません。
まとめ:PCDが異なるホイール装着は技術的には可能だがリスク高
結論として、Peugeot508の5H-108ホイールを90スープラ(5H-112)に装着することは、PCD変換スペーサーを使用すれば理論上は可能です。ただし、走行中の安全性や車検対応、費用面などさまざまな課題があるため、慎重な判断が必要です。
見た目やコスト面だけでなく、安全性や法的な観点を十分に検討し、信頼できるショップでの相談と作業をおすすめします。
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