長期間放置された旧車を再始動させる際、もっとも悩まされるトラブルのひとつが「白煙」です。とくにクラウンなどの旧車愛好家にはおなじみの1G系エンジンを搭載したモデルでの再生は慎重さが求められます。この記事では、10年放置された1G-Eエンジンで白煙が発生する原因や、オイル番手の変更が有効かどうかなど、実例とともに解説します。
白煙の原因は何か?|オイル上がりとオイル下がりの違い
白煙の主な原因は2つ、「オイル上がり」と「オイル下がり」です。
オイル上がりはピストンリングの摩耗や固着によってオイルが燃焼室に上がってくる現象。
オイル下がりはバルブシールの劣化で、吸気側からオイルが下りてくるものです。
走行距離が6万8000kmであっても、10年という長期放置の影響で内部ゴム類の劣化や油膜切れが起きやすく、オイル管理が不十分だった場合は、いずれの現象も十分に起こり得ます。
オイル番手の変更は有効か?|10W-30からの見直し
10W-30は標準的な粘度ですが、旧車や消耗が見られるエンジンではオイルの粘度を上げることで白煙を軽減できることがあります。
たとえば「15W-40」や「20W-50」など、高温側の粘度が高いオイルを使うと、燃焼室にオイルが入り込みにくくなるため、白煙が減ることがあります。
ただし、粘度が高すぎるとオイルポンプへの負荷が増し、寒冷地では始動性が落ちるリスクもあるため、使用環境に応じた判断が必要です。
アイドリングで白煙が目立つ理由
アイドリング中は燃焼温度が低いため、オイルが燃え切らずに白煙となって排出されやすくなります。加えて、吸気負圧が強くなることで、バルブシールからのオイル下がりも促進されがちです。
このため、白煙が「走行時よりアイドリング中に目立つ」という現象は、バルブステムシールの劣化を示唆する可能性が高いです。
実際に効果のあった対処法の事例
例1:粘度アップ+エンジンリフレッシュ添加剤
10W-30から15W-40へ変更し、WAKO’Sやスリーボンドなどのリング洗浄・密封効果のある添加剤を併用したところ、白煙が大幅に減少した事例があります。
例2:バルブステムシール交換
白煙が改善されない場合は、エンジンヘッドを開けてバルブシール交換を実施。DIYでは難しい作業のため、プロに依頼した方が安心です。
DIYでできる範囲と整備の限界
オイル交換やオイル粘度の調整、燃料タンク清掃、添加剤の使用といった基本的なメンテナンスは、ある程度の知識があればDIYで可能です。しかし、白煙の原因がエンジン内部に及ぶ場合、バルブシールやピストンリングの交換など、専門的な作業が必要となります。
こうした場合は早めに旧車に詳しい整備工場やレストア専門店に相談することをおすすめします。
まとめ|白煙の原因を見極めて無理なく対処を
10年放置されたクラウンのような旧車で白煙が出るのは珍しいことではありません。大切なのは、焦って高額な修理をする前に、粘度変更や添加剤の使用など、できる範囲で原因を切り分けていくことです。
旧車は手間がかかる反面、自分の手で再生していく楽しさもあります。白煙との付き合い方も、その一部と捉え、知識と経験を積んでいくことが旧車ライフの醍醐味とも言えるでしょう。
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