変わるメルセデスのデザイン哲学:時代とともに進化する「らしさ」とは?

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メルセデス・ベンツは長い歴史の中で、その「らしさ」を常に変化させながらも高級車の象徴であり続けてきました。新型CLAやAMG GT 4ドアクーペなど、近年のデザインに違和感を抱く声もありますが、果たしてそれは単なる変化なのか、それとも「らしさ」の喪失なのでしょうか?

メルセデスの「らしさ」はどこにあるのか

メルセデス・ベンツといえば、クラシカルなフロントグリル、大胆なメッキ装飾、そして威厳のあるボディラインを思い浮かべる方も多いでしょう。特にSクラスやEクラスはその象徴的存在でした。

しかし最近ではフロントマスクのシャープ化やLEDデイライトの採用など、スポーティな要素が増しています。こうした変化は、若年層や新興国市場への訴求を目的とした戦略の一環とも言えます。

デザイン変化の背景には電動化と空力効率

電気自動車(EV)の普及とともに、メルセデスもサステナビリティと空力性能を重視したデザインへと移行しています。たとえば、フラットなノーズやスムーズなラインはCd値(空気抵抗係数)を下げるための工夫です。

実際にEQSや新型CLAも、かつてのような重厚なグリルではなく、クリーンで近未来的な意匠が採用されています。これは性能向上のための必然的な進化とも言えるでしょう。

現行SクラスやEクラスへの評価は二極化

最新のSクラス(W223)は、直線的だった従来型から大きく丸みを帯びたシルエットになり、「威厳が薄れた」との声がある一方、「洗練されたモダンラグジュアリー」として高く評価する層も存在します。

Eクラスも同様に、曲線を多用した親しみやすいフロントマスクが特徴で、従来の保守的なイメージを刷新する意図が見て取れます。見た目のインパクトよりも、統一感やブランド戦略を重視している点が特徴です。

Cクラスは「旧型が美しい」と言われる理由

W205型のCクラスは、コンパクトでありながらクラシカルな高級感があり、多くのファンに愛されました。それに比べてW206型ではフロントの印象が軽くなり「ベンツらしくない」と感じる人も増えています。

ただし、内装は大幅にデジタル化されており、最新MBUXシステムなど機能面では大きく進化しています。

SUVはスタイル重視から多様性へ

Gクラス、GLS、GLC、EQBなど、多様化するメルセデスSUVですが、デザインの差異がわかりにくいとの意見も。とはいえ、Gクラスのような伝統的スタイルからEQシリーズの先進的デザインまで、多彩な表現が見られるのも事実です。

特にEVモデルでは従来の枠にとらわれない大胆な造形が可能となっており、SUVという枠を超えた存在感を打ち出しています。

「ベンツらしさ」とは時代の価値観に呼応するもの

メルセデスのデザインが「らしくない」と感じる背景には、かつてのイメージに対する個人的な美学が反映されていることが多いです。しかし、メルセデス自身は「革新こそが伝統」として、進化することを止めていません。

つまり「ベンツらしさ」は固定された形ではなく、時代の価値観と技術革新に応じて変化し続ける本質的な姿勢なのかもしれません。

まとめ:懐かしさと革新性の狭間で揺れるベンツデザイン

新型CLAやAMG GT 4ドアクーペのフロントデザインに対する戸惑いは、「変わること」に対する本能的な反応とも言えます。一方で、その変化は世界戦略や電動化対応、そして多様なユーザー層への対応として必然的なものです。

これからのベンツは「クラシカルな重厚感」と「革新の美学」をどう共存させるのか。その答えを追い続ける楽しみもまた、メルセデスの魅力の一つと言えるでしょう。

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