車内でタブレットなどを充電するためにナビ裏のACC電源から給電を取る方は少なくありません。しかし、特にPD(Power Delivery)対応の充電機器を接続した際に、予期しない車両の不具合や警告音が発生するケースもあります。この記事ではその原因と対応策を詳しく解説していきます。
ナビ裏ACC電源からの給電がもたらす影響
ナビ裏のACC電源は、イグニッションキーがACCまたはONのときにのみ通電する回路です。ここから電源を取るのは一般的な方法ですが、電力供給先の機器によっては車両の電装系に悪影響を与える場合があります。
特にPD対応の高出力USB充電器を使用した場合、車両の電圧制御やCAN通信に影響する可能性があります。結果として、キーレスが反応しなくなる、警告音が鳴り続けるといったトラブルが発生することがあります。
症状の詳細とPD充電が原因となる理由
ご質問の例では、PDポートにiPadを接続すると、エンジン停止中でもキーレスが無反応になり、ドアを開けるとピーピー音が鳴り続けるという現象が発生しています。これは、PD充電器内部のコンデンサや制御チップが車両電源ラインにわずかな逆電流を流してしまい、車両がACCがまだONと誤認識することによって起こることが考えられます。
特に、マークXジオのような電子制御が高度な車両では、こうした誤検知によって各種センサーやBCM(ボディコントロールモジュール)が異常動作することがあります。
アースの取り方と影響
アース(GND)の接続方法も重要です。ナビ裏のアース端子や車体ボディへの接続によっても挙動が変わることがあります。実際に、ボディアースにしたら警告音が軽減したといった報告もあり、アースの接点で微細な電位差が生まれることが影響している場合もあります。
最善の方法は、車両の設計に沿ったアースポイントに統一して接続することです。電装品の設置時には必ず電位の安定性も確認しましょう。
別電源からの供給を検討する
一番シンプルかつ効果的な対策は、PD充電器の電源をナビ裏ではなく、シガーソケット用ACCヒューズや専用電源ユニットから取る方法です。これにより車両の主要な電装系から分離され、影響を最小限にできます。
ヒューズボックスから電源を取る際には、エーモンなどの電源取り出しハーネスを利用することで安全かつ確実な配線が可能です。
実際の対策例とトラブル回避策
以下は実際に報告されている回避策です。
- PD給電のポートにはスイッチ付きの電源を介して必要な時のみ通電
- PDポートとiPadの間に電圧制御付きのアダプタを挿入して誤作動を防止
- ナビ裏からではなく、グローブボックス内のヒューズ電源を使用
これらの方法を組み合わせることで、誤作動の原因となる微弱な電流漏れやノイズを防ぎやすくなります。
まとめ:PD給電の落とし穴と正しい電源取り出し方法
ナビ裏ACC電源からPD対応充電器を使う場合、車両の電子制御システムに予期せぬ影響を与える可能性があります。とくにマークXジオのような車両では注意が必要です。
安全かつ安定した給電を行うには、専用の電源系統を用いることが推奨されます。PD充電は便利ですが、その高出力ゆえのリスクを理解したうえで、正しい方法で導入することが重要です。
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