トヨタが誇るフラッグシップセダン「クラウン」。かつては“高級セダン”の代名詞でしたが、近年は販売不振もあり、そのブランドの再構築が求められていました。そんな中、2022年に発表された新型クラウン(16代目)は従来のセダンイメージを覆し、SUVテイストやファストバック型など大胆な方向転換を図っています。
クラウンの歴史とブランドイメージの転換
クラウンは1955年に初代が発売されて以来、日本を代表する高級車として60年以上の歴史を持ちます。長らく法人向け・富裕層向けというイメージが強く、若年層やファミリーユーザーとは距離のある存在でした。
しかし、販売台数の落ち込みを受け、トヨタは「クラウン=セダン」という枠を超える新たな戦略を打ち出します。その象徴が、SUVスタイルを取り入れた新型クラウンの登場です。
新型クラウンの特徴:なぜ今売れるのか?
- クロスオーバースタイルの採用:クラウン初のSUV風デザインが幅広い層に訴求。
- プラットフォーム刷新:TNGA-F採用により走行性能・快適性が向上。
- パワートレインの進化:ハイブリッド(HEV)とプラグインハイブリッド(PHEV)をラインナップ。
- インフォテインメントの強化:12.3インチ大型ディスプレイやOTAアップデート対応。
これにより「セダンには乗らないが、SUVなら興味がある」というユーザー層を取り込める可能性が高まっています。
購入層の変化:クラウンは誰のクルマか?
かつては50代以上の男性ユーザーが中心だったクラウンですが、新型では30〜40代のファミリー層や女性ドライバーもターゲットに。
実際に、購入者の中には「子育てが一段落した40代共働き夫婦」「都市部在住でセダンは敬遠していた30代女性」など、これまでとは異なる層が含まれています。
競合車種との比較:ハリアーやレクサスとの違い
新型クラウンは、トヨタの人気SUV「ハリアー」やレクサス「NX」とも比較されがちですが、上質さと走行性能のバランスが特徴です。
例えば、クラウンのPHEVは加速性能や静粛性に優れており、通勤〜長距離ドライブまで快適にこなせる実力を備えています。一方でハリアーはスタイリッシュで価格も手頃ですが、クラウンの方が「プレミアム感」が強く、所有満足度は高いとの声も。
口コミ・市場の反応:売れ行きの兆しは?
YouTubeやSNSでは「こんなクラウンなら乗りたい」「スタイルが斬新でかっこいい」という反応が目立ちます。また2023年〜2024年にかけての販売状況を見ても、従来比で若干上向きとなっており、“復活の兆し”が見られています。
一方、「クラウンらしくない」という保守的な意見もありますが、それだけ挑戦的なモデルチェンジであるとも言えます。
まとめ:クラウンは新たなステージへ
新型クラウンは単なるモデルチェンジにとどまらず、「ブランドの再構築」という意味合いを持つ戦略車です。SUVスタイルや新世代プラットフォームを通じて、“古い高級車”のイメージを刷新し、若い世代や女性層にもアピールする姿勢が見て取れます。
これまでクラウンに縁がなかった層が興味を持ち、購入を検討するようになれば、「今度こそ売れる」可能性は十分にあるでしょう。
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