フォークリフトの運転では、停止時であっても運転姿勢や手の位置に厳密なルールが設けられています。特に「停車中でも左手はハンドルから離してはいけない」といった指摘に対して、疑問を持つ方も多いでしょう。本記事では、その理由や安全管理の考え方について具体例を交えて解説します。
基本操作の中にある“姿勢の一貫性”の重要性
フォークリフト運転では、動作を問わず常に「正しい姿勢」を保つことが求められています。左手をハンドルに添えるのは、操作準備状態を常に維持するためであり、緊急時の初動にも大きく関係します。
例として、フォークを上げ下げしている最中に、荷が不安定になって傾いた場合、すぐにハンドルで微調整ができる状態が望ましいのです。停止していても“完全静止”とは限らず、慣性や床の傾斜の影響を受ける場合もあります。
事故防止の観点から見る理由
左手をハンドルに置くことは、誤操作や予期しないフォークリフトの動きに備えるためでもあります。万一、誤ってパーキングブレーキが緩んだり、傾斜でわずかに動いてしまったとき、即座に対応できる姿勢が不可欠です。
実際に、停車中のフォークリフトがフォーク操作中にわずかに前進し、周囲の作業者に接触した事例もあります。これを防ぐためには、常に運転席の正しい位置で、両手が適切な場所にあることが求められます。
“慣れ”による安全意識の低下を防ぐ
フォークリフトの運転はルーチン作業になりやすく、慣れが生じると安全意識が下がりやすい傾向があります。その中で、「停車中だからハンドルから手を離してもいいだろう」という油断が生まれやすくなります。
左手を常にハンドルに添えておくことを習慣づけることで、運転手自身の意識レベルを維持しやすくなり、無意識のうちに安全確認ができる体制を作れます。
教習・社内マニュアルが定める基本動作
多くの企業や教習所では、「停止中でも左手をハンドルに置く」ことを基本操作として教育しています。これは単に形式的なルールではなく、安全文化としての定着を目的とした動作の一部です。
マニュアルを統一することで、現場全体の安全レベルが均質化され、指導や評価の基準も明確になります。したがって、このルールを守ることはチーム全体の安全意識維持にもつながります。
まとめ:停車中でも“操作中”であるという意識を持とう
フォークリフトのフォーク操作中は、たとえ車両が停止していても「機械を動かしている最中」という扱いになります。左手をハンドルに添えることで、安全対策と操作準備を両立し、緊急対応への第一歩となります。
作業がルーティン化される現場ほど、基本動作の徹底が安全の鍵です。ハンドルから手を離さないというルールもまた、事故ゼロのための“無意識の備え”として重要な意味を持っているのです。
コメント