フォークリフトでの人の昇降作業は違法?安全と法令の観点から正しく理解する方法

運転免許

工場や倉庫などでの高所作業において、「フォークリフトにゴンドラを取り付けて人を昇降させる」というケースが一部で見られます。しかし、これは労働安全衛生法やフォークリフト運用規定に大きく関わる問題であり、知らずに行うと法令違反となる可能性もあるため注意が必要です。

フォークリフトは「人を載せるための機械」ではない

フォークリフトは、本来「荷物を運搬・昇降するための車両」であり、人を載せることを想定した構造にはなっていません。構造的にも安定性や安全装備が人の昇降を前提にしていないため、落下や転倒などの重大事故に繋がるリスクが非常に高いのです。

例えば、一般的な運転免許やフォークリフト講習でも「フォークリフトに人を載せてはいけない」と明確に教えられます。これが業界における基本認識です。

労働安全衛生法と関係通達の観点からの扱い

厚生労働省の通達によれば、フォークリフトにゴンドラ(作業台)を取り付けて人を昇降させる行為は、「高所作業車」等と同等の安全基準を満たした場合にのみ限定的に許可される可能性があります。

しかし、「ゴンドラを載せれば合法」という誤解も多く、実際には「墜落防止措置」「作業指揮者の配置」「定期点検の実施」など複数の厳しい条件を満たす必要があるため、一般的な現場では実質的に不適切とされます。

違法な使用で発生した事故とその事例

過去には、フォークリフトに簡易な足場を装着し作業員を持ち上げた結果、荷台からの落下により死亡事故が発生したケースも報告されています。特に安定性が低下するシーンでは「フォークリフトが横転し、作業員が地面に叩きつけられる」などの深刻な事態になりかねません。

こうした事故はすべて「構造と用途を無視した使い方」が原因とされており、使用者だけでなく会社自体が罰則を受ける可能性もあります。

安全に人を昇降させる代替手段とは?

高所作業が必要な場合は、高所作業車や可搬式足場、安全基準を満たした仮設リフトなど、専門の機材を用いることが求められます。これらは法令に準拠して設計・運用されており、保護具の使用や作業手順も明文化されているため、現場全体の安全性が飛躍的に向上します。

また、必要に応じて労働基準監督署への確認を取りながら、適切な作業計画を立てることも重要です。

「グレーゾーン」という誤解と職場での正しい対応

「グレーゾーン」という言葉は便利に聞こえますが、安全衛生の分野ではあいまいな解釈は通用しません。明文化された法令や通達がある以上、違反すれば処罰の対象になり得るという意識が必要です。

もし職場で「これやっといて」と言われた場合には、「これは高所作業車ではないため、リスクがあります」と丁寧に伝え、上司や安全衛生管理者に相談することをおすすめします。

まとめ:フォークリフトで人を上げるのは原則NG、安全と法令を最優先に

フォークリフトにゴンドラを装着して人を昇降させる行為は、原則として法令に反する危険行為です。一部の例外的な措置を除き、安全確保と法令順守を最優先とした対応が求められます。

「知らなかった」では済まされないリスクが潜む以上、適切な知識と判断をもって、現場の安全を守っていくことが大切です。

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