車検は道路運送車両法に基づき、安全性や環境基準を満たすかどうかを確認するために定期的に実施される制度です。しかし近年、表面上の車検手続きを済ませただけで実際の整備が伴わない、いわゆる「ペーパー車検」が一部で問題視されています。本記事では、ペーパー車検の実態やそのリスク、正しい車検との違いについて詳しく解説します。
ペーパー車検とは何か?
ペーパー車検とは、必要な検査や整備を十分に行わず、書類上のみで車検を通したように見せかける不正行為のことを指します。
具体的には、以下のようなケースが該当します。
- 検査機器による点検を省略したまま合格の判を押す
- 不具合を抱えたまま、見た目だけを整えて検査を通す
- 書類上で整備したことにして、実際には何もしていない
このようなペーパー車検は、整備不良による事故や故障のリスクを高めるだけでなく、法令違反として行政処分や罰則の対象になることもあります。
なぜペーパー車検が横行するのか?
ペーパー車検が行われる背景には、整備費用や手間を省きたいというユーザーや業者の思惑がある場合があります。
特に以下のようなケースでは注意が必要です。
- 車検料金が極端に安い業者を選んだ場合
- 車両の状態確認がほとんど行われない場合
- 点検記録簿の説明がなく、整備内容が不明瞭
一例として、「ネットで見つけた格安車検に出したが、ブレーキパッドがほぼ残っていなかった」と後から発覚した事例もあります。
正しい車検との違い
本来の車検では、国が定めた点検項目に従い、専門の整備士が厳格に検査・整備を行います。
正しい車検の特徴。
- 点検記録簿が発行される
- 整備結果について説明を受けられる
- 必要な部品交換や修理が提案される
信頼できる車検業者では、整備箇所の写真を添えて説明してくれるなど、透明性のある対応が期待できます。
ペーパー車検のリスクと法的責任
ペーパー車検によって最も大きなリスクは、安全性の欠如です。
たとえば。
- ブレーキ不良で事故に直結
- ライトやワイパーの不具合で視界確保ができず危険
さらに、車検を行った業者は整備命令違反により業務停止や処分を受けることがあり、ユーザー自身も虚偽申請の責任を問われる可能性があります。
信頼できる車検業者の選び方
ペーパー車検を避けるには、信頼できる業者を選ぶことが最も重要です。
- 国土交通省指定・認証の整備工場を選ぶ
- 見積もりの内容が明確で、作業説明が丁寧
- 口コミやレビューでの評判が良い
ディーラー車検は価格が高めではありますが、点検・整備の質は高く、安心感があります。
まとめ:安全と安心のために、正しい車検を
車検は「通すこと」が目的ではなく、安全に車を走らせるための重要なチェックポイントです。ペーパー車検は法的にも倫理的にも問題がある行為であり、結果的に事故や故障、重大な損失を招く恐れがあります。
料金の安さだけで選ばず、確実に点検整備を行ってくれる業者に依頼することが、安心・安全なカーライフへの第一歩です。
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