キャブレターのパワーフィルター化は、吸気効率やカスタム性を高める人気の手法です。しかし、車種によっては固定方法に注意が必要です。特にエストレヤのように、インマニとキャブがネジ止めではなく差し込み式の場合、適切な対策を講じないと走行中にキャブが脱落する危険もあります。
エストレヤのキャブ構造と問題点
エストレヤの純正キャブは、インマニ側とエアクリ側の両方でゴムブーツとホースバンドにより差し込まれる形で装着されています。純正エアクリーナーボックスがキャブの後方支持となり、構造的に安定しています。
しかし、エアクリを外してパワーフィルターを装着した場合、後方からの支持がなくなるため、キャブ本体がインマニから抜けやすくなるリスクが生じます。
パワーフィルター化する際の主なリスク
- 振動によるキャブ脱落:バイク走行時の振動がキャブに直接かかり、差し込み部から抜ける可能性。
- インマニとの密着不良による2次エア吸入:吸気効率が悪化し、燃調やアイドリング不調の原因になる。
- キャブが動くことでアクセルワイヤーやホース類が引っ張られる:最悪の場合、引きちぎれる恐れも。
ステーやブラケットによる固定が効果的
パワーフィルター化に伴い、キャブを車体に確実に固定することは非常に重要です。最も一般的な方法は、キャブ上部やフロート室の固定穴を利用し、エンジンマウントやフレームから延ばした金属ステーで支える手法です。
具体的には以下のような対策が有効です。
- 汎用ステーを使用し、キャブ本体をエンジンマウントに固定
- ラバーマウント付きブラケットで振動を吸収しつつ支持
- エアクリ側(パワフィル)をスプリングなどで引っ張ってテンションを持たせる
実例:CB50やモンキー系でのキャブ固定
例えばホンダ系ミニバイク(CB50・エイプ・モンキー等)では、ビッグキャブを装着した際に同様の問題が発生します。その際は多くのライダーが、フレームとキャブの間に自作ステーを介してキャブ本体を確実に固定しています。
また、フロートチャンバーのドレンボルト付近にあるネジ穴を利用することで、ステーの取り付けも容易になります。
ホースバンドの増し締めでは不十分?
ホースバンドをしっかり締めたとしても、ゴムマウント式は時間と共に硬化し、緩みやすくなります。特に冬場や長距離ツーリング中に突然抜けるトラブルも報告されています。
そのため、ホースバンドのみに頼る構成はおすすめできず、最低限片側に一箇所は物理的に固定された支持点を設けるのが安全です。
まとめ:パワフィル化には追加ステーでのキャブ固定を
エストレヤに限らず、差し込み式のキャブ構造を持つ車両でパワーフィルター化を行う際は、必ず別途ステーなどでキャブ本体を支持することが望ましいです。
振動や走行中の応力からキャブを守ることで、走行中のトラブルや吸気トラブルを回避し、安心してカスタムを楽しむことができます。ステーの取り付けは比較的簡単で、市販の金具や自作パーツで対応可能です。
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