かつて日本の多くのクルマに装着されていたフェンダーミラー。現代ではほとんど見かけなくなったこの装備が、なぜ主流だったのか、そしてどのような経緯でドアミラーに取って代わられたのかを解説します。
フェンダーミラーが標準だった時代背景
1970〜80年代の日本車にはフェンダーミラーが多く採用されていました。その理由のひとつは法規制で、当時はドアミラーの装着が認可されていなかったため、メーカーもユーザーも選択肢が限られていたのです。
また、フェンダーの前方にミラーを配置することで、車両感覚がつかみやすく、教習車やタクシーでも長く愛用されていました。
ドアミラー解禁とその普及
1983年に日本でも国際的な安全基準に準拠する形でドアミラーが正式に認可され、それをきっかけに多くの車種で標準装備に切り替わっていきました。
特にスポーツカーや輸出車では空力性能を重視していたため、ドアミラーの採用が早く、そこから一般車にも広がった形です。
フェンダーミラーのメリットとデメリット
フェンダーミラーの利点としては、視線の移動が少なくて済むため運転中の目線移動が少ないという点が挙げられます。また、車幅感覚が把握しやすいのもメリットでした。
一方で、ミラーが遠くにあるため調整が手動で不便、空気抵抗が大きくなる、デザイン的に現代車と合わないなどのデメリットが次第に浮き彫りになっていきました。
ドアミラーの進化と現代車への適応
現代のドアミラーは電動格納機能やヒーター内蔵、さらにはカメラ一体型のデジタルミラーに進化しており、利便性・安全性の面で大きな進歩を遂げています。
また、車体デザインとの一体感や風切り音の低減にも貢献しており、ドアミラーが完全にスタンダードな存在となりました。
例外的に現存するフェンダーミラー車
タクシー仕様のクラウンなど一部の車種では、いまだにフェンダーミラーが選ばれていることがあります。これは、プロドライバーの運転環境や慣れに合わせた設計によるものです。
ただし新車時の注文で選べる場合は稀で、多くが特注や法人専用モデルに限られます。
まとめ:フェンダーミラーからドアミラーへと移り変わった理由
フェンダーミラーはかつての日本独自の車文化のひとつでしたが、技術革新や法規制の変化、デザイン・空力性能重視の流れによってドアミラーが主流となりました。
今後はミラーレス車両(カメラミラーシステム)がさらに普及していくと予想され、鏡面自体がなくなる未来も近いかもしれません。
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