かつて“バイクの神様”と呼ばれた男たちと、伝説のマシンたちの物語

バイクの世界には、神のように崇められたライダーや、“キング・オブ・キングス”と称されたマシンが確かに存在した時代があります。この記事では、その伝説の根源と今も語り継がれる理由をひもときます。

“バイクの神様”とは誰だったのか？

日本で「バイクの神様」と称される人物として最も有名なのは、元WGPライダーの辻本聡氏や、ホンダの開発者・本田宗一郎氏などが挙げられます。

特に本田宗一郎氏は、バイクを世界的な工業製品に昇華させた存在であり、単なるエンジン開発者にとどまらず“魂を込める”という哲学でバイクの未来を切り拓きました。

1980〜90年代に“キング・オブ・キングス”と呼ばれた名車には、ホンダCB750F、ヤマハRZ250、カワサキZ1などがあります。

例えば、ホンダの「NR750」は楕円ピストンという革命的技術を採用し、当時のライダーたちの憧れの的でした。価格は当時520万円と高額ながら、“神が作ったバイク”という異名を持っていました。

“神様”と称されるには、単なる技術だけでなく、時代背景・文化的影響・後進への影響力といった要素が関係します。

実際、マン島TTレースでの死闘、峠での走り、開発秘話など、血と汗と情熱が込められた“語り”が、神格化の背景にはあります。

近年では、MotoGPで活躍するマルク・マルケス選手や、国内で「峠最速理論」を説いた二輪ジャーナリストたちが、“現代の神様”と称される存在です。

バイクがデジタル化し、走行支援システムが進化する中でも、“人馬一体”の哲学は変わらず、神様の教えが生き続けています。

今の若い世代が“バイクの神様”を知らないのは当然かもしれませんが、そこには知ることでバイクの魅力が深まり、さらに安全に・楽しく乗るためのヒントがあります。

技術革新の裏にある情熱や、バイク文化の礎を築いた人物や車両を知ることは、ライダーとしての誇りを育ててくれるでしょう。

“なぜ神様を知らないのか？”という問いの答えは、知る機会がなかったからかもしれません。しかし、今からでも遅くはありません。

バイクの歴史や神と呼ばれた存在を知ることで、あなたのバイクライフはより深みを増し、次世代へ伝える語り手になるかもしれないのです。