エンジンチューニングの中でも冷却対策として有効とされるのが、エンジンオイルの容量を増やし、オイルクーラーとの循環効率を上げる方法です。その一環として、純正オイルパンに穴を開けてオイルラインを外部に増設するカスタムが注目されています。しかし、この方法にはいくつかのリスクも伴います。本記事では、その構造的メリットと注意すべき点を解説します。
なぜオイル量を増やす必要があるのか?
オイルの量を増やすことで、オイルの冷却性と潤滑性が高まり、エンジンの耐久性向上が期待されます。特にサーキット走行やスポーツ走行を前提とするチューニング車両では、油温管理は命とも言える重要項目です。
オイルの温度上昇を防ぎ、粘度の劣化を抑えることで、パーツの摩耗も減らせます。
オイルパンに穴を開けるカスタムとは
一般的には、オイルパンの側面や底面にアルミパイプなどを通す穴を設け、溶接でフィッティングを追加し、ステンメッシュホースを介して外部のオイルポンプやオイルクーラーと接続します。
このカスタムの利点は、純正形状を活かしながら拡張性を持たせられる点にありますが、施工精度が求められます。
溶接による加工のリスク
アルミのオイルパンは素材が薄く、溶接箇所が歪んだり割れやすいという性質があります。施工不良があれば、オイル漏れや走行中の脱落といった重大なトラブルを招く可能性もあります。
また、パイプの取り回しやフィッティングの位置が悪いと、地面とのクリアランス不足により破損するリスクも無視できません。
安全性を高める施工のポイント
- TIG溶接に対応したショップに依頼
- 溶接後の耐圧・耐熱テストを実施
- 車両の車高や下回りクリアランスを考慮して設計
これらを満たしているかを事前にチェックすることで、リスクを最小限に抑えられます。
実例:S13シルビアでのオイルライン外出し
あるユーザーはS13型シルビアで、オイルパン側面にフィッティングを増設し、10ANステンホースでオイルクーラーに外出し配管を実施。結果として油温が10℃以上低下し、夏場の連続走行でもオーバーヒートが起こらなくなったとのことです。
ただし、施工はレーシングショップで行われ、TIG溶接の他にねじ込み式のバックアップ構造も備えていました。
まとめ:高性能を狙うなら、信頼できる施工を
オイルパンに手を加えるカスタムは確かに効果的ですが、「やるならしっかり、やらないなら手を出さない」という心構えが重要です。溶接技術や設計に自信がない場合は、汎用の増量オイルパンや市販のオイルブロック経由の外部配管を検討するのも手です。
目的に応じた選択と、安全性を担保する施工が、快適かつ安心なカスタムライフにつながります。
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