近年、中古車を複数台まとめて購入し、事業や転売に活用する動きが活発化しています。しかし、個人でも10台などを一括で購入するとなると、販売店や法的な観点からさまざまな配慮が必要になります。この記事では、中古車の大量購入と転売を前提とした際のポイント、リスク、そして店舗とのやり取りの実情まで詳しく解説します。
複数台の中古車を一括購入することは可能か?
結論から言えば、原則として法的な制限はなく可能です。ただし、10台などの同時購入は一般的ではないため、販売店によっては事前に意図を確認されたり、書類手続きの手間が増えたりします。
たとえば「すべて同じ日に購入し、すべて自宅に納車してもらいたい」という希望がある場合、販売店側も在庫処理・納車段取り・契約処理などの準備が必要となるため、事前相談が必須です。
販売店から「転売目的か?」と問われることはあるのか
はい、高確率で転売目的かの確認が入るでしょう。なぜなら、個人名義で短期間に複数台の車を購入する行為は、古物営業法の観点から「業としての転売」と見なされる可能性があるからです。
販売店によっては「転売目的の販売はお断り」と明言していることもあり、名義変更を短期で行う場合、古物商許可証の提示を求められることがあります。虚偽申告があった場合は契約解除やトラブルの原因にもなりかねません。
任意保険には加入しなくても購入できるのか?
任意保険(自動車保険)は購入条件ではありません。そのため、契約や納車時点で加入していなくても問題はありません。ただし、公道を走らせる場合は必須であり、販売店が仮ナンバー等で回送する場合でも、事故責任の所在を明確にする必要があります。
業者間では、納車中の車両トラブルは「回送業者の保険対応」で処理されますが、個人購入では、免責範囲や損害補償の責任分界点が契約書に明記されているかをよく確認してください。
納車中に事故が起きたら誰の責任か?
納車までの運搬は、販売店または外部委託された輸送業者の責任範囲です。通常は輸送時の車両損傷について保険対応できるようになっていますが、契約書に「納車時点で所有権移転」と記載があれば、万一の事故は購入者側負担になるリスクもあります。
このようなトラブルを避けるには、運送保険の有無・輸送業者の責任区分・車両引渡しのタイミングを事前に文書で確認しておくことが重要です。
書庫証明は全台分必要?
はい、普通車は1台ごとに保管場所(車庫証明)が必要です。警察署への申請も台数分必要となるため、準備には手間がかかります。もし一部を仮ナンバーや未登録状態で運ぶ場合、その旨も販売店とすり合わせておく必要があります。
同じ住所で複数台分の保管場所を確保できるかも問題となるため、駐車場の賃貸契約なども含めた事前準備が欠かせません。
まとめ:中古車を複数台購入するには信頼と計画が不可欠
中古車を転売目的で複数台まとめて購入することは制度上は可能ですが、古物商許可の有無・販売店との信頼関係・保管場所・輸送責任・保険対応など、慎重な確認が求められます。
「購入できるかどうか」だけでなく、「買ってからトラブルなく処理できるか」までを見据えて、事前に段取りを整えておきましょう。販売店にも誠実な意図を示すことが、スムーズな取引の第一歩です。
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