いすゞ117クーペは、日本のクラシックカー好きの間で今も語り継がれる名車の一つです。そのスタイリングや内装の美しさから高く評価されている車ですが、「117」という数字にはいったいどのような意味があるのでしょうか?今回はこのモデル名にまつわる歴史と背景を掘り下げてご紹介します。
117という数字の由来
いすゞ117クーペの「117」という数字は、開発コードナンバーをそのまま車名にしたものです。1960年代初頭、いすゞが新しい高級クーペの開発に着手した際に、このプロジェクトは社内で「117号プロジェクト」と呼ばれていました。
これは特別な意味を込めた数字というより、技術開発上の管理番号に近いものです。多くの日本車では「スカイラインGT-RのR32」のように型式が別にありますが、117クーペの場合はこの開発番号がそのまま正式な車名になったというわけです。
開発背景と時代の文脈
117クーペの登場は1968年。当時、日本は高度経済成長の真っただ中で、人々の生活水準も車に対する価値観も大きく変わろうとしていました。高性能だけでなく、美しさや所有する喜びを追求する声も強まりつつあり、117クーペはそうしたニーズに応えるために登場しました。
スタイリングはイタリアの巨匠ジョルジェット・ジウジアーロによってデザインされ、直線的で流麗なシルエットが特徴です。これが国産車で実現されたことは、当時としては非常に画期的でした。
117クーペが評価された理由
117クーペは、日本初の量産直噴DOHCエンジン搭載車としても知られています。その滑らかな加速感と優れたハンドリング性能により、走行性能も高く評価されていました。
また、内装にも本木目パネルやレザーシートを使用するなど、当時の国産車としては群を抜く高級感を演出しており、単なる交通手段を超えた「持つことの価値」を体現していました。
ファンにとっての「117」の象徴的意味
117クーペは車名自体が一種のブランドになっており、「117」と聞いただけでその美しいデザインや高級感を連想させるようになっています。
たとえば旧車イベントでは「117が来てる」と言えば、車に詳しい人であればすぐに「いすゞの名車だね」と反応するほど、この数字が象徴的な存在になっているのです。
117クーペの今とこれから
117クーペは現在でも愛好家に根強い人気があります。特に初期のハンドメイドモデルは希少価値が高く、クラシックカー市場でも高額で取引されています。部品供給の問題など課題はありますが、その価値は今も色あせることはありません。
現代においても「117」という数字は、ただの開発番号ではなく、日本車のクラフトマンシップや美意識を象徴するナンバーとして特別な意味を持ち続けています。
まとめ:117は名車の証として受け継がれる数字
117クーペの「117」は、単なる数字ではなく、いすゞの挑戦と美意識の結晶として今も語り継がれています。開発コードがそのまま車名になり、そして名車となったこのモデルは、日本の自動車史における特別な存在です。数字の背後にあるストーリーを知ることで、117クーペの魅力はさらに深まります。
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