古い2サイクルエンジンを復活させようとする際、キャブレター周りの整備は不可欠です。特にワルボロ(Walbro)WA型のような古いキャブレターでは、ダイヤフラムやダイヤフラムポンプの交換後に不具合が出ることもあります。この記事では、キャブレターの交換後にエンジンがかからない、燃料が吸い上がらないといった症状に焦点を当て、考えられる原因と対処法を解説します。
WA型キャブレターの構造と機能をおさらい
ワルボロのWA型キャブレターは、小型2サイクルエンジンに広く使われており、燃料供給はダイヤフラムポンプによって行われます。負圧により燃料をタンクから吸い上げ、ニードルで調整された空燃比で燃焼室へ供給します。
ダイヤフラムポンプやダイヤフラムの状態が悪いと、燃料が吸い上がらない、あるいはエアを噛んで始動できないなどの不具合に繋がります。
社外パーツの適合性に注意
WTやWTA用のダイヤフラムをWA型に流用すると、寸法や構造のわずかな違いが大きな不具合を生む可能性があります。特にポンプ側の膜の動作が合っていないと燃料を正しく吸い上げられません。
WA型専用の部品を使うことが推奨されます。純正品が手に入らない場合は、対応型番が明示されているリペアキットを使用しましょう。
燃料が吸い上がらない場合に疑うポイント
スターターを何度引いても燃料が動かない場合、以下のような原因が考えられます。
- 燃料ホースの詰まりや亀裂
- 燃料フィルターの目詰まり
- ダイヤフラムの取付ミス(裏表逆など)
- ポンプチャンバーのゴミ詰まり
- キャブレター本体のバキューム経路の詰まり
一つずつ潰していくことで、原因の特定が可能です。
エンジンが一瞬かかるが続かない理由
キャブの入り口に直接燃料を入れた時だけ始動するのは、キャブレターが燃料供給できていない証拠です。これは典型的なポンプ不良またはバキューム通路の詰まりが原因の症状です。
特にエンジンとキャブの間のOリングの劣化や、インシュレーターのひび割れにより負圧が逃げてしまうと、ダイヤフラムポンプが作動せず燃料が動かなくなります。
LOW/HIGHニードルの初期設定も再確認
LOWとHIGHのニードルを1回転半に設定するのは標準的な初期値ですが、キャブの種類やエンジンにより調整が必要な場合があります。エンジンがかからない状態ではニードル調整以前の問題ですが、始動後に再調整は必須です。
クリーニングと再点検で改善するケースも
超音波洗浄機などを使ってキャブレター内部を徹底洗浄し、ガスケット・Oリング類を新調することで症状が改善される例は多くあります。また、ダイヤフラムやリードバルブの動作確認も重要です。
タンクから燃料が動かない場合は、ポンプチャンバーのバルブの気密性も確認してみましょう。
まとめ:パーツ選びと組み付け精度がカギ
ワルボロWA型キャブレターでエンジンがかからない場合、まずは部品の適合性、次にポンプと燃料経路の点検を行うのがセオリーです。点火系が正常であるならば、燃料供給の問題に絞って対処するのが近道です。
社外品の流用には注意し、可能であれば純正対応部品を使い、丁寧な組み付けとバキューム経路の確認を心がけましょう。
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