なぜ50cc原付スクーターはアドレスV100のような大柄ボディやタイヤを採用しなかったのか?その理由と背景を徹底解説

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50ccの原付スクーターは、都市部の移動手段として長く支持されてきました。しかし、体格の大きな大人が乗るには小さく感じる場面も多く、「アドレスV100くらいのサイズ感で設計してくれれば…」という声があるのも事実です。ではなぜ、原付一種でそのサイズが採用されることはなかったのか?この記事ではその理由を技術・法規制・市場の3つの観点から整理します。

原付一種の「50cc」には厳しい出力制限がある

日本の道路交通法では、50cc以下の原動機付き自転車(原付一種)は最高速度30km/h制限・二段階右折・交差点直進制限など、通常のバイクや125ccクラスとは異なる厳しいルールが課されています。

また、50ccエンジンは出力が5ps前後が主流で、原則として1人乗り・低速移動が想定されています。この限られた出力で大柄な車体や大径タイヤを駆動させるのは、加速・登坂・燃費の面で大きなデメリットになります。

車体を大型化するとコスト・重量が一気に増加

アドレスV100のようなボディサイズ(全長1,710mm/車重96kg前後)を採用するには、シャシー・フレームの設計変更、サスペンションやホイールサイズのアップなどが必要で、その分コストも重量も増加します。

原付50ccは「価格10万円台後半〜20万円台前半」がボリュームゾーン。ユーザー層も高校生や通勤者が中心のため、低価格と燃費性能が求められます。結果として、小型・軽量化が優先されたのです。

タイヤサイズ拡大による影響と制約

多くの50ccスクーターは10インチタイヤを採用しています。これに対し、アドレスV100は12インチ。タイヤが大きくなれば安定性や段差の乗り越えは良くなりますが、その分回転力(トルク)も必要になり、エンジンの負荷が増加します。

小排気量エンジンではトルクが不足するため、大径タイヤではスムーズな発進が難しくなり、結果的に「非力」「重い」といったフィーリングになりやすくなります。

アドレスV100は50ccではなく90cc〜100ccクラス

そもそもアドレスV100は50cc原付ではなく、原付二種(100cc)に分類されるモデルです。これにより、60km/h制限、二人乗り、法定速度の緩和が可能で、設計思想がまったく異なります。

排気量に余裕があるため、車体を大きくし、12インチタイヤを搭載しても、性能的なバランスを保つことができるのです。

現代では125ccクラスが50ccの役割を担い始めている

昨今では50ccの販売は減少傾向にあり、代わりに原付二種(110cc~125cc)が都市移動の主力になりつつあります。

ホンダ・Dio110、スズキ・アドレス125、ヤマハ・ジョグ125などは、軽量・低価格・維持費の安さで、50ccと同様の感覚で使えるうえ、サイズや安定性も確保されています。

まとめ:50ccスクーターが小さい理由は、法律とエンジン性能、価格の制約

50cc原付スクーターがアドレスV100のようなサイズを採用しなかったのは、出力・コスト・法規制という三重の制約があったためです。

より快適で安定した走りを求めるなら、現在では原付二種(125cc以下)にステップアップするのが現実的な選択肢となってきています。体格の大きい方にとっても、取り回しとパワーのバランスが良いクラスです。

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