日本人の手取りが増えると車は売れる？輸入コストと経済循環の仕組みをわかりやすく解説

「日本人の手取りが増えたら車はもっと売れるのでは？」という視点は非常に的を射ています。しかし、その一方で車の部品や原材料の多くは海外から輸入されており、経済の仕組みを知ることで新たな疑問も生まれます。この記事では、自動車需要と国民所得、そして輸入コストの関係をやさしく解説します。

手取りが増えると車は売れるようになる？

一般的に、家計に余裕が生まれると「耐久消費財」である自動車の購入意欲が高まります。これは消費性向の観点からも説明され、手取りが増えると生活必需品以外への支出が拡大します。

たとえば、仮に平均手取りが月3万円増加した場合、軽自動車やコンパクトカーなど比較的価格の安い車種の販売が伸びやすくなると考えられます。特に地方では車が生活必需品であるため、その影響はより大きいでしょう。

日本車の多くは国内で組み立てられているものの、実は多くの部品や素材が海外から調達されています。代表的なものには以下があります。

これらを輸入するためには外貨、つまりドルやユーロが必要です。したがって日本国内の需要が高まっても、輸入コストが増加する可能性があります。

輸入の支払いは「外貨」で行われますが、日本は主に「輸出」で外貨を稼ぎます。自動車そのものの輸出に加えて、電子部品、精密機械、観光収入なども外貨獲得源です。

つまり、日本が輸入を続けられるのは、輸出によって外貨を得ているからです。手取りが増えて国産車が売れたとしても、原材料の調達や価格は為替レートや国際市況に左右されます。

手取り増加によって自動車販売が伸びれば、製造業、販売、物流など多くの関連産業が潤います。これはGDPや税収の増加にもつながる可能性があります。

ただし注意すべきは「内需拡大による貿易赤字の拡大」です。輸入超過になると円安が進み、輸入物価が上昇して家計を圧迫するリスクもあります。

日本政府は消費促進のために「エコカー減税」や「補助金制度」を導入しています。これにより、電気自動車（EV）やハイブリッド車の購入がしやすくなり、結果として輸入バランスにも影響を与えています。

たとえばEVは電力で走るため、化石燃料の輸入量を減らせるという側面もあります。つまり政策と経済は密接につながっているのです。

日本人の手取りが増えることは消費を活性化させ、自動車販売の追い風となるでしょう。しかしその裏には輸入依存の現実と為替の影響があり、バランスの取れた政策と産業構造が求められます。豊かさと持続性、その両立がこれからの課題と言えるでしょう。