中古車を選ぶとき、「同じ年式・走行距離なのに、ある車はオイル漏れがあるのに対し、別の車は全く問題がない」という場面に出くわすことがあります。エンジンのオイル漏れやクーラント漏れは中古車選びにおいて重要な判断材料の一つですが、なぜこのような差が生まれるのでしょうか。この記事では、その原因やメカニズム、予防策について具体的に解説します。
オイル漏れが起こる主な原因
オイル漏れは、エンジンのシール材やガスケットの劣化が主な原因です。同じ年式・走行距離であっても、以下のような要因で状態に差が出ます。
- オイル交換頻度の違い:適切なオイル交換を怠ると、オイルの劣化によりシール材が硬化し、隙間が生じて漏れやすくなります。
- 長期間の放置・短距離走行の多用:オイルが温まりきらず、水分や汚れがたまりやすくなり、内部パーツやガスケットを傷める原因に。
- 安価なオイルや添加剤の多用:品質が低いオイルはエンジン内部の摩耗を進めることがあります。
たとえば、月1回しか運転せず放置気味だった車は、年式が新しくてもオイル漏れが起きやすい傾向にあります。
オイル上がり・下がりとの違いと関連性
オイル漏れと似た症状に「オイル上がり」「オイル下がり」があります。これらは外部にオイルが漏れるのではなく、内部で燃焼室にオイルが侵入し、白煙を吹くなどの症状が出るものです。
- オイル上がり:ピストンリングの摩耗で、オイルが燃焼室に上がっていく
- オイル下がり:バルブステムシールの劣化で、オイルが吸気側から侵入
どちらもオイル管理を怠った結果として発生しやすいため、「オイル交換の有無」は中古車のコンディションを大きく左右する重要なポイントとなります。
クーラント漏れの原因と見極め方
クーラント(冷却水)の漏れも、エンジンやラジエーターの健康状態を示す重要なサインです。よくある原因には以下があります。
- ラジエーターやホースの経年劣化
- ウォーターポンプのシール劣化
- オーバーヒートによるガスケット損傷
質問にあるように「オーバーヒート」が原因となることも確かにあります。たとえば、冷却ファンが故障して夏場に渋滞中オーバーヒートを起こした結果、ヘッドガスケットが抜けてクーラントがエンジン内部に漏れ込む…といったケースです。
同じ条件でも違いが出る理由
年式や走行距離が同じでも、以下のような点で状態に差が出ます。
- 運転者のメンテナンス意識:定期点検や整備の有無が大きく影響
- 運転環境の違い:山道・高速メインなのか、街乗りばかりなのか
- 保管環境:屋内保管か青空駐車かでゴム類の劣化スピードが変わる
たとえば、ガレージ保管で年2回ディーラー点検を受けていた車と、ノーメンテで雨ざらしだった車では、同じ「10年落ち・8万km」でも状態がまったく異なります。
中古車選びで確認すべきポイント
中古車を購入する際には、以下の点を重点的に確認すると安心です。
- エンジン下部のオイルにじみの有無
- ラジエーターキャップ周辺に白っぽい結晶(漏れの跡)
- エンジンオイルの色・粘度・量
- 冷却水のリザーバータンク残量と変色の有無
- 白煙や異音の発生有無
さらに、整備記録簿の有無や、オイル交換の頻度も確認できれば理想です。
まとめ:劣化の差は“扱い方とメンテナンス”の違いに出る
同じ年式・走行距離の中古車でも、エンジンオイルや冷却水の漏れが起きるかどうかは、これまでのオーナーの扱い方やメンテナンス状況によって大きく左右されます。特にオイル交換や冷却系の点検を怠った車は、内部の摩耗やシール劣化が進行しやすくなります。
中古車選びでは、単にスペックを見るだけでなく、細部の状態や整備履歴も確認し、安心して乗れる一台を見極めることが大切です。
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