古い原付バイクを所有していると、エンジンが暖まった後に調子が悪くなるという症状に悩まされることがあります。特に1990年代前半に登場したホンダ・スーパーディオSR(AF28)などは、年数経過による劣化も重なり、さまざまな不調の原因が複雑に絡みます。この記事では、走行中の失速やアイドリング不安定など、暖機後に発生するトラブルの原因とその対処法をわかりやすく解説します。
症状の概要:暖まると起こるアイドリング不調と加速不良
今回取り上げるトラブルは、主にエンジンが十分に暖まった後、信号待ちなどの低回転からの再加速時に起こるものです。アイドリング状態では問題なくても、発進時にかぶったようになり加速できない、あるいは加速中に谷があるなどの不調が出るのが特徴です。
駆動が繋がっていない状態(センタースタンドで空ぶかし)では吹け上がるという点がポイントで、エンジンの根本的な故障ではなく、負荷がかかる状況でのみ不具合が出ることを示唆しています。
疑うべき代表的な原因①:スロージェットやキャブレターの詰まり
古い2スト原付で多いのが、キャブレター内のスロージェット詰まりです。エンジンが暖まると吸気が薄くなり、低速域での燃料供給が足りなくなることがあります。これにより、加速時に燃料が追いつかず息つきや加速の谷が発生します。
対処法:キャブレターの分解清掃を行い、スロージェット・メインジェットをキャブクリーナーでしっかり洗浄します。ついでにパッキン類も新品に交換することで、燃料漏れなどのリスクも低減します。
疑うべき代表的な原因②:点火系(CDI・イグニッションコイル・プラグ)の劣化
暖まると不調が出る場合、点火系のパーツが温度上昇により不安定になるケースもあります。とくにCDIやイグニッションコイルは経年で内部の絶縁や配線が劣化しやすく、熱で電圧供給が不安定になり失火が起きます。
対処法:プラグはまず新品交換し、焼け具合も確認します。次にCDIとイグニッションコイルの予備パーツが入手可能なら交換して症状が改善するかチェックします。中古パーツで検証する方法もあります。
見落としやすい原因③:エアクリーナーの詰まり・吸気系の劣化
エアクリーナーが目詰まりを起こしている場合、燃調が濃くなり暖気後の燃焼効率が悪化します。これは「かぶり」や「加速しない」原因となるため注意が必要です。また、インテークマニホールドのゴムのひび割れも二次エアを吸い込み不安定な燃焼につながります。
対処法:エアクリーナーエレメントの清掃または交換。吸気系パーツの接続部もチェックして、経年劣化しているゴムホースやマニホールドの交換も検討しましょう。
エンジン内部の問題:焼き付きや圧縮漏れの可能性も
最悪のケースでは、ピストンやシリンダーに軽度の焼き付きが発生し、圧縮が不安定になることで加速不良が起きている可能性もあります。ただし、今回のように高回転では問題がない場合、軽度の圧縮抜けの可能性は低めです。
対処法:コンプレッションゲージで圧縮測定を実施。基準値より極端に低い場合はエンジンのオーバーホールや腰上の交換が必要になります。
まとめ:複数の要素が絡む不調は一つずつ潰していくのが基本
AF28型スーパーディオSRのような年式の古い原付バイクでは、複数の劣化箇所が同時に影響し合って不調が発生していることがよくあります。今回紹介した点火系、キャブレター、吸気系の確認と、基本に忠実なメンテナンスを行うことで大半の症状は改善されるはずです。
部品の入手が難しいケースでも、専門ショップやネットオークション、リビルドパーツの活用で対処できます。焦らず一つずつ原因を探りながら、安心して走れる状態に仕上げていきましょう。
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