ホンダの横型エンジンはカスタムベースとして非常に人気がありますが、ボアアップや電装系の改造を行った際に振動や異音が発生するトラブルも多く報告されています。特に88ccキット装着後に発生する中速域の激しい振動や車体後方からの異音は、多くのライダーが悩むポイントです。
ホンダ横型エンジン特有の振動とは?
ホンダの横型エンジンは、構造上バランサーシャフトを持たないシンプルな作りのため、排気量が大きくなると振動も比例して増大します。純正50cc想定の設計では、88cc化によるトルク増大に耐えきれず、マウントやフレーム側への負担も顕著になります。
特に中速域(4000〜7000rpm)での共振が激しくなるケースが多く、この振動がマフラーの破損やフレームの亀裂につながることも珍しくありません。
考えられる振動・異音の主な原因
- エンジンマウントの剛性不足:フレーム側が88ccの振動を受け止めきれない。
- マフラーの固定不良または素材疲労:振動が集中的にかかり、溶接部が破断。
- クラッチやギアの組付けミス:SP武川の強化クラッチ組込時の偏心や芯ズレ。
- カムチェーン・テンショナーの張り過ぎ/緩み:駆動系からのノイズや打音の原因に。
- フライホイールやクランクのバランス不良:バランス取りされていない部品の使用。
エンブレ時に「ガラカラ」と鳴る場合、エキゾースト側・クラッチ周り・チェーンテンショナーのいずれかが怪しいと言えるでしょう。
対処法:段階的にチェックすべきポイント
まず以下の項目を確認・調整してみましょう。
- エンジンマウントボルトの締め直し・強化ブッシュ導入:純正ゴムマウントを硬度の高いウレタン製などに交換するのも手です。
- マフラーステーの見直し:マフラーにサイレンサーステーを追加して応力分散を図る。
- クラッチ周辺の再確認:組み込み時のプレート向き、スプリングの圧なども要チェック。
- スプロケット・チェーンのアライメント調整:チェーンテンション不良による共鳴振動の可能性。
- クランクバランスの確認(必要であればバランス取り加工)
マフラーの破損まで行っていることを考えると、単なる取り付け不良ではなく、エンジン全体のバランスが崩れている可能性が高いです。
フレームの亀裂への対応
フレームにヒビが入っている場合は、そのまま走行を続けるのは非常に危険です。溶接による補強か、補強プレートの溶着が必要です。
また、エンジンマウント近辺にできた亀裂は、今後さらに拡大し、車体破損や転倒の原因となります。早急な修理と、場合によっては別の車体への載せ替えも検討しましょう。
まとめ:ボアアップ車両は全体バランスが重要
ホンダ横型エンジンのボアアップはカスタムの楽しさがある一方で、振動や耐久性に対するトラブルがつきものです。強化クラッチ・高回転対応の排気系・補強されたフレームといった「トータルバランス」で考えることが大切です。
異音や振動が発生している場合は、単に音だけの問題ではなく、重大な破損につながる予兆の可能性もあるため、必ず専門ショップで診断を受けるようにしましょう。
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