晴天時のバイク走行中に対向車が水たまりを通過し、思わぬ形で水をかぶってしまったという経験をされた方もいるかもしれません。この記事では、そのような飛沫被害が法的にどう扱われるのか、損害請求は可能なのかについて解説します。
道路交通法から見る「飛沫による被害」の位置づけ
日本の道路交通法では、車両の運転者は周囲の交通に対して注意義務を負っています。具体的には第70条で「他人に危害を及ぼさないように注意しなければならない」と規定されています。
この条文に照らせば、明らかに大きな水たまりを無視してスピードを落とさずに通過し、結果として対向車や歩行者に水をかけてしまった場合には、注意義務違反が問われる可能性があります。
過去の判例や損害賠償の例
実際に、水はねにより歩行者がスーツを汚された件で、損害賠償が認められた判例も存在します。クリーニング代や迷惑料として数千円〜1万円程度の請求が認められたケースがあります。
ただし、証拠が必要になります。例えば、車両のナンバー、発生時刻、現場写真、水たまりの状況、被害の程度を記録しておくことが重要です。
バイクの場合はどうなる?
バイクは走行中であるため、歩行者ほどの保護を受けづらい部分がありますが、明らかな過失(不必要なスピードでの通過や避けられる状況での回避義務違反)があれば、損害賠償請求は十分に可能です。
特に、衣服が著しく濡れたり、スマートフォンや荷物が水濡れで故障した場合など、実際的な損害が発生していれば、その損害額を根拠に請求できます。
請求の現実性と注意点
損害賠償請求を行うには、加害車両の運転者を特定しなければなりません。ドライブレコーダーや目撃者の証言がないと困難なケースも多いのが現実です。
また、警察へ通報しても刑事処罰の対象となる可能性は低く、民事での請求が主な手段となります。この場合も、過失を証明する責任は被害者側にあります。
今後のためにできる対策
バイクにドライブレコーダーを設置することで、こうした場面で証拠を確保しやすくなります。フロント・リアの両方を記録できるモデルが望ましいです。
また、都市部の高架下など、水たまりができやすい場所ではあらかじめ徐行し、対向車の動きを注視することで回避行動をとることも有効です。
まとめ|水はね被害は泣き寝入りしなくてよい場合も
水たまりによる被害は「仕方ない」と思われがちですが、状況によっては明らかに相手の不注意によるものとして、損害賠償請求が認められることもあります。大切なのは、証拠を残し、冷静に対処することです。
バイク乗りにとっても、法的知識と予防策の両方を持つことで、トラブルへの備えが格段に高まります。
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