「トランスファ」という言葉は、自動車とくに四輪駆動(4WD)に関連してよく登場しますが、その仕組みや適用車種について詳しく知っている人は意外と少ないかもしれません。この記事では、トランスファの役割や構造、どの車種に搭載されているのかをわかりやすく解説します。
トランスファの基本的な役割とは?
トランスファ(トランスファケース)は、4WD車において前輪と後輪に動力を分配する装置です。エンジンの出力をトランスミッションから受け取り、それを前後の駆動輪に適切に配分する役割を果たしています。
また、ハイギアとローギアの切り替えができる機構を持つものもあり、悪路や登坂などの状況に応じた走行性能を実現します。
トランスファは4WD専用?
基本的にはパートタイム4WDやフルタイム4WDの車両に装備されるのが一般的です。FF(前輪駆動)やFR(後輪駆動)の車両にはトランスファは不要なため、通常は搭載されていません。
例外的に一部の高度なAWD(全輪駆動)システムでは、トランスファに似た分配機構が設けられているケースもありますが、それらは厳密には別の技術的名称で呼ばれることが多いです。
パートタイム4WDとフルタイム4WDにおけるトランスファの違い
パートタイム4WDでは、普段は2WD(通常後輪)で走行し、必要に応じてドライバーが手動でトランスファのスイッチやレバーを操作して4WDに切り替えます。
フルタイム4WDでは、常に4輪に動力が分配される構造で、トランスファ内部にセンターデフ(差動装置)が組み込まれており、前後輪の回転差を吸収する役割を担います。
トランスファ搭載車の実例
例1:トヨタ ランドクルーザーやスズキ ジムニーなど、本格派4WD車にはハイ・ロー切替式のトランスファが搭載されています。
例2:スバルのAWD車では、トランスファに類似した駆動分配機構が使われていますが、一般的なトランスファとはやや異なる構造を持っています。
4WD以外での似た装置との混同に注意
近年のAWDシステムでは、電子制御による駆動分配が主流となり、トランスファのような物理的な装置がない場合もあります。そのため、「トランスファ=4WD専用部品」とは一概に言えず、駆動方式によって構造は大きく異なるのです。
車の仕様書や整備マニュアルを確認することで、装備の有無を確認できます。
まとめ
トランスファは基本的に4WD車に搭載される重要な装置で、前後輪への動力分配を行います。FFやFRには不要で、AWDでも構造が異なるため、すべての車に搭載されているわけではありません。車を選ぶ際やカスタムを検討する際は、自車の駆動方式や使用目的に応じてトランスファの有無や構造を理解しておくと安心です。
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