かつては若者文化の象徴とも言える存在だったカーカスタムですが、近年は車の高騰や若年層の車離れが指摘され、業界の将来性を不安視する声もあります。しかし、実際の市場動向を見てみると、単なる衰退とは言い切れない側面もあります。
若年層の車離れとその背景
まず若者の車離れには、複数の要因があります。都市部では公共交通の充実により車の必要性が薄れており、また、保険料や駐車場代など維持費の負担も重く、所有そのものがハードルとなっています。
さらに、SNSやスマホ、サブスク型サービスなど新たな趣味が増えたことで、カーカスタムにお金と時間を投じる層が相対的に減っているのも一因です。
それでも残る根強い需要と高年齢層の存在
一方で、40代以上の経済的に余裕のある層では、車を趣味として楽しむ人が依然として多くいます。特にバブル期に青春時代を過ごした世代では、当時の憧れを叶えるべく旧車のレストアやカスタムに取り組む例も増えています。
たとえば「ハコスカ(スカイラインGT-R)」や「AE86」などの旧車は年々価値が上がっており、それをターゲットとした専門ショップやパーツ製造業者も活況を見せています。
業界の進化:旧来のカスタムから現代的カスタムへ
昔ながらの「車高短・爆音」といった改造から、今では快適性や実用性を重視したスマートなカスタムが主流になりつつあります。たとえば。
- 車内LEDやデジタルミラーなどの電装品カスタム
- アウトドア志向の車中泊仕様
- EV(電気自動車)のカスタマイズパーツ需要
このように、カスタムの方向性自体が変化しており、単に「衰退」と見るのは早計です。
オンラインとSNSが生んだ新しいカーカルチャー
また、YouTubeやInstagram、X(旧Twitter)などを通じて、自分の車を公開したり、改造の様子を配信する若者も一定数存在しています。フォロワー数の多い「カーカスタム系インフルエンサー」も登場しており、新たな市場を形成し始めています。
こうした発信型のカスタムは、「自己表現」と「経済活動」の両立という点で、これまでのカスタムとは異なる方向で発展しています。
業界としての今後とサステナブルへの適応
業界としても、今後は環境規制やEVの普及に対応した製品やサービス展開が鍵となるでしょう。たとえば。
- EV対応カスタムパーツの開発
- 燃費や排ガスに配慮したチューニング
- リサイクル部品の活用促進
このように、サステナビリティに対応したカスタム文化の再構築が求められています。
まとめ:カーカスタム業界は形を変えながら進化中
若年層の車離れが進む一方で、高年齢層やコアなファン層、オンライン発信者を中心に、カスタム文化は着実に生き続けています。ただし、従来の派手な改造だけでなく、EV対応やライフスタイルに合わせた柔軟な進化が求められています。
今後のカーカスタムは、「趣味」から「暮らしの一部」へと変化していくことで、より多様な層に支持されていく可能性があるでしょう。
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