映画で描かれる迫力満点のカーチェイス。特にアメリカ映画では、高速道路や市街地を縦横無尽にパトカーが追跡するシーンが印象的です。では、日本のパトカー、特にクラウンベースの車両でも、あのような走行が可能なのでしょうか?この記事では、日本の警察車両の性能や運用実態から、その現実を探っていきます。
日本のパトカーの主力「クラウン」のスペック
クラウンパトカーは、主に交通機動隊や高速隊で使用されており、一般の交番車両よりも性能面で優れています。代表的なモデルはクラウンアスリートやロイヤルサルーンベースで、3.5L V6エンジンを搭載する車両も存在します。
その最高出力は約315馬力(3.5Lモデル)であり、加速性能も一般車より高く、直線加速や追い越しには十分な性能を持ちます。
アメリカ映画のような「カーチェイス」に必要な条件
アメリカ映画では、道路を封鎖して撮影することが多く、非現実的な速度や運転操作が可能です。例えば、急ハンドル・ドリフト・バリケード突破などは、実際の法執行では行われません。
一方で、日本の警察は法規に準じた安全な運転が原則です。たとえ犯罪者を追跡している最中でも、歩行者や他の車両への危険を避けることが優先され、映画のような演出は行われません。
クラウンパトカーの限界と訓練事情
日本の警察官は運転技術に長けており、高速道路での追尾訓練や急制動訓練など、実践的な訓練を受けています。しかし、車両の限界としては以下のような制約があります。
- 車両重量が重く、コーナリング性能はスポーツカーに劣る
- アメリカの「ピットマニューバ」のような接触技術は原則禁止
- タイヤや足回りが一般車仕様に近い(特別な改造は少ない)
現実的な日本の追跡運用
日本ではカーチェイスを長引かせることを避ける傾向が強く、ヘリコプター支援や他部隊との連携によって、逃走車を安全に追い詰める体制が整えられています。
また、パトカーの車載カメラによって証拠を確保し、後日逮捕するケースも多く見られます。これは、一般市民を巻き込むリスクを最小限に抑えるための配慮です。
クラウンパトカーの実力を発揮する場面とは
高速道路での速度違反車両の取り締まり、夜間の暴走行為への追跡など、クラウンパトカーが最も能力を発揮するのはスピードと安定性が求められる場面です。
特に覆面パトカーでは、高速域での走行が可能なため、犯人車両が気づかないうちに近づいて、ナンバーを確認することもあります。
まとめ:映画とは違う「現実の追跡劇」
クラウンパトカーは確かに高性能ではありますが、アメリカ映画のような「派手なカーチェイス」を実現するための設計ではありません。日本の警察はあくまで安全性と法令遵守を重視しており、必要以上の危険な運転は行わない方針です。
現実の警察活動は、地道で確実な「証拠と連携」による追跡と逮捕が中心。その中でもクラウンパトカーは、信頼される追跡車両として活躍を続けています。
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