1990年代のキャデラック・ブロアムは、独自のラグジュアリー性と電装機器の複雑さを兼ね備えたアメリカ車として今なお根強い人気があります。そんなブロアムでよくあるトラブルのひとつが「エアコンのAUTOモードがすぐECONモードに戻ってしまう」という現象です。本記事ではその原因と解決方法について詳しく解説します。
ECONとAUTOの違いを理解しよう
まず、AUTOとECONモードの違いを押さえておきましょう。AUTOモードはエアコンの全自動制御を行い、冷房・暖房・送風を自動的に調整します。一方、ECONモードはコンプレッサーを作動させず、送風や暖房のみの省エネモードです。
冷房が効かない・AUTOが使えないという症状が出た場合は、冷却系統や電装系の不具合の可能性が高くなります。
主な原因①:ガス圧の低下(冷媒不足)
もっとも多い原因は、エアコンの冷媒ガス不足です。AUTOモードではコンプレッサーが作動しますが、ガス圧が基準値以下だと安全機構によりAUTOが作動せず、ECONに自動で切り替わります。
この場合は、冷媒ガスの充填が必要です。整備工場やディーラーでの点検・充填が推奨されます。ガス漏れが原因であることも多いため、リークチェックも忘れずに行いましょう。
主な原因②:エアコンプレッサーやクラッチの不良
コンプレッサー本体またはマグネットクラッチが故障している場合も同様の症状が発生します。特に年式の古い車両では摩耗や電磁コイルの断線が起こりやすく、AUTOモードが物理的に作動しない状態になります。
このような場合は部品交換が必要で、リビルト品や中古品を活用することでコストを抑えられることもあります。
主な原因③:AUTO制御ユニットまたはセンサーの異常
エアコンの制御ユニット(クライメートコントロールモジュール)が経年劣化により誤作動を起こすこともあります。また、車内外気温センサーの誤検出によってAUTOが作動不可と判断されるケースもあります。
この場合はユニットの修理または交換が必要です。配線の接触不良やコネクタの腐食も併せてチェックすると良いでしょう。
実例:AUTOからECONに戻る車両の診断ケース
あるユーザーの92年式キャデラック・ブロアムでは、AUTOボタンを押すと一瞬だけAUTO表示が点灯するがすぐにECONに戻るという症状が発生しました。診断の結果、エアコンの冷媒ガスが規定量よりも大幅に少ないことが判明し、ガスを充填したところ正常にAUTOが作動するようになりました。
このように、冷媒ガス量のチェックはトラブル解決の第一歩といえます。
まずは自己診断から始めよう
古いキャデラックは自己診断機能が備わっているモデルもあり、オートエアコンのディスプレイにエラーナンバーを表示できる場合があります。操作方法は車種や年式により異なるため、オーナーズマニュアルや整備書を参照してください。
診断モードで出たエラーコードによって、センサー不良なのか、制御ユニットの異常なのかがある程度特定できます。
まとめ:AUTO→ECONに戻る原因は冷媒・コンプレッサー・制御系の3つ
キャデラック・ブロアムのエアコンがAUTOモードで作動しない原因は主に以下の3つです。
- 冷媒ガスの不足
- コンプレッサーまたはクラッチの不良
- センサーや制御ユニットの異常
まずは冷媒ガスの状態をチェックし、それでも改善しなければ制御機器の点検を行いましょう。古いアメ車の修理は手間も費用もかかりますが、的確な診断と対処で愛車を快適に保ちましょう。


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