ディーゼル車に灯油を入れるとどうなる?法律・税制・実情を詳しく解説

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燃料費の高騰に伴い、「ディーゼルエンジンに灯油を入れて走らせると安上がりになるのでは?」という話を耳にすることがあります。しかし、この行為には重大なリスクが潜んでおり、法律的にも税制的にも違法となる可能性が高いため、注意が必要です。この記事では、灯油をディーゼル車に使用することの影響や法律上の問題、現実にあるケースなどを詳しく解説します。

灯油はディーゼル車で使えるのか?

技術的には、灯油は軽油と性質が似ており、古いディーゼルエンジン車などでは燃焼させて走行できる場合があります。しかし、灯油には潤滑性がなく、現代の高圧噴射方式のエンジンではインジェクターなどが傷みやすく、エンジンに深刻なダメージを与える恐れがあります。

たとえば農業用の古いトラクターなどでは灯油で動かしていた例もありますが、乗用車や商用車で使用すれば寿命を縮めることになりかねません。

なぜ灯油使用が違法になるのか?

日本では、軽油には「軽油引取税」という地方税が課税されています。一方、灯油にはこの税金がかかっていません。そのため、税金がかからない灯油を自動車の燃料として使用することは、「脱税」に該当するとされます。

軽油引取税法第15条では、課税逃れを目的とした燃料の使用を厳しく取り締まっており、違反した場合には重い罰則が科される可能性があります。

灯油を使った場合の罰則とリスク

税務当局に灯油の使用が発覚した場合、「軽油引取税の不正免除」として追徴課税が行われ、過去にさかのぼって多額の税金が請求されることがあります。さらに、悪質なケースでは刑事罰として懲役や罰金刑も科される可能性があります。

実際、定期的に税務署や自治体が抜き打ちで軽油車の燃料タンク内のサンプル検査を実施しており、不正使用が摘発された事例も報道されています。

「隠れて使っている人がいるのか?」という疑問

ネット上では「知人がやっている」「昔は農家でやっていた」などの書き込みが見られますが、現在では監視体制が強化されており、見つかれば高リスクです。特に事業用車両やトラック業者が灯油を使えば、業務停止や行政処分を受ける可能性もあるため、実際に実行している人はごくわずかと考えられます。

一部の自動車整備関係者が実験的に灯油で動かす動画を公開していることもありますが、あくまで参考程度であり、一般的な使用はおすすめできません。

軽油の価格高騰と節約の工夫

軽油価格の上昇が続いている中で、節約方法を模索するのは当然のことです。しかし、不正な方法ではなく、燃費の良い運転を心がける・ガソリンスタンドのポイント制度を活用する・軽油価格の安い地域を把握するといった正規の手段で節約を検討すべきです。

また、燃費性能の高い車種への乗り換えやカーシェアの利用も選択肢となります。

まとめ:灯油を使うのは「安くつく」どころか高くつく

ディーゼル車に灯油を入れることは、法的にも税務的にも重大なリスクを伴い、たとえ一時的に燃料費を抑えられたとしても、発覚した際の代償は大きくなります。経済的合理性を考えても、合法的でリスクのない節約術を選ぶことが最善です。燃料費を節約するなら、安全で持続可能な手段を検討しましょう。

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