ヴィンテージハーレーである1976年式FLH1200に多く見られる電装トラブル。特にキックオンリーかつダイナS点火を装備した車両では、走行中に突然ストールする症状が発生することがあります。この記事では、その原因として考えられる配線のリーク、サーキットブレーカーの不具合、電圧低下などに焦点を当て、症状の切り分け方と対策を解説します。
走行中に突然エンジンが止まる主な原因とは
ヴィンテージハーレーの走行中のストールは、点火系への電源断が主な原因です。キルスイッチを押したかのように突然ストールする場合、最も疑われるのはサーキットブレーカーの作動です。
1976年式ではリレーやフューズの代わりにサーキットブレーカーが使用されており、過電流やリークがあると自動的に回路を遮断し、数秒後に復帰します。復帰後に再始動できる場合は、電気的な一時遮断が起きている証拠です。
Lポジションでのみ発生する点に注目
キーが「L」位置でのみ症状が発生し、「IGN」位置では正常に走行できる場合、「Lポジションに接続された回路のみに問題がある」可能性が高いです。これはヘッドライトやポジションランプ、アクセサリー回路などが該当します。
配線図を確認し、Lポジションで通電する配線を一つずつ絶縁確認することがトラブルシュートの第一歩です。
配線リークやショートの確認方法
- テスターで電圧降下を測定:バッテリーから点火コイルまでの電圧を、LポジションとIGNポジションで比較。
- 導通テスト:Lポジション通電時に不自然にアースへ導通していないかをチェック。
- バッテリー電圧測定:走行中・エンジン停止直後で12.5V以下であれば、電圧降下やチャージ不良の疑いあり。
サーキットブレーカー自体の不具合も想定内
サーキットブレーカー自体の経年劣化や接点腐食でも、誤作動を起こすことがあります。特に40年以上経過したオリジナルのブレーカーは、想定電流以下でも熱膨張で遮断するケースがあります。
サーキットブレーカーの交換は比較的簡単で、同じアンペア数(主に15A〜30A)の汎用品と交換が可能です。分解清掃よりも交換を推奨します。
実例:ダイナS使用のFLHオーナーのトラブル例
実際に1970年代後半のFLHを所有するオーナーが「Lポジションで走行中のみストール」を経験。原因はヘッドライトハウジング内のアース不良で、Lポジション経由でライト点灯→アース経由でリーク→ブレーカー作動という流れでした。アースを強化したことで問題は解消されました。
まとめ:まずはLポジションの電装回路を重点チェック
走行中のストール症状がLポジション時のみ発生する場合は、サーキットブレーカーの作動原因を以下の観点で調査しましょう。
- Lポジションに接続された電装(ヘッドライト、メーター照明など)を1系統ずつチェック
- サーキットブレーカーの年式と反応状態を確認。可能であれば新品交換
- 配線の物理的断線や擦れ、腐食を目視点検
- バッテリー電圧・充電状態も確認
最終的に根本原因を突き止めるためには、電装図の確認と段階的な切り分けが最短ルートです。DIYに自信がない方は、旧車対応の電装に詳しいショップに依頼することをおすすめします。
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