道路を走っていると、車同士が「ありがとう」の意味でハザードやパッシング、クラクションを使って挨拶する光景を目にします。しかし、これらの行為を警察車両に対して行った場合、違反や注意の対象になるのでしょうか?本記事では、挨拶のつもりで行う運転行為と法律上の注意点について詳しく解説します。
クラクションの使用は法律で制限されている
道路交通法第54条では、警音器(クラクション)の使用は原則として禁止されており、例外的に「警笛区間での通行」や「危険防止のためやむを得ない場合」に限り使用が認められています。したがって、「ありがとう」の意味でクラクションを鳴らすことは厳密には違反行為とみなされる可能性があります。
たとえ好意的な挨拶であっても、警察車両が近くにいる場合や警察車両に対して行った場合は、取締りや注意を受けるリスクがあるため注意が必要です。
パッシング(ヘッドライトの点滅)はどうか?
パッシングについては法的な明確な定義はないものの、他のドライバーに注意を促すための意思表示として使われることが多く、違反とはされていません。
しかし、不要なタイミングや相手を威圧する目的で使用した場合は「違反行為」と判断されることがあります。とくに警察車両に向かって行うと、「不審な行為」と受け取られる可能性もあり、誤解を招くおそれがあります。
ハザードランプの「ありがとう」サインはグレーゾーン
日本ではハザードランプを2〜3回点灯させて「ありがとう」を伝える慣習がありますが、これも法令上は本来の使用目的とは異なります。
道路交通法上、ハザードランプは「緊急停止」や「後続車に注意喚起する」ための装備であり、感謝の気持ちを示す目的での使用は想定されていません。
警察車両に対して行った場合のリスク
警察車両に対して挨拶目的でクラクションやパッシングを行った場合、「故意に警察に対して挑発した」と捉えられる可能性があり、職務質問や警告の対象になるリスクもあります。
また、たとえ違反切符までは切られなかったとしても、運転マナーとして不適切と判断されることがあります。警察車両が相手の場合は特に慎重に対応しましょう。
実際の事例:注意で済んだが、気まずい状況に
あるドライバーが高速道路で警察車両に道を譲られた際、感謝の意でクラクションを短く鳴らしたところ、直後に警察車両が減速して並走。窓越しに「そういうのはやめてくださいね」と注意を受けたとのこと。
違反には問われなかったものの、その後の運転中は非常に気まずかったといいます。このように、良かれと思っての行為でも、状況や相手によってはマイナスに働く可能性があるのです。
安全第一の意思表示を
交通マナーとしてのサインは、日本特有の文化でもあります。しかし、ドライバー同士の意思疎通を図る場合でも、法的に問題のない方法を選ぶことが重要です。
たとえば「会釈」や「手を挙げる」などの方法で感謝を伝えるのも一つの方法です。これならば違反の心配もなく、相手にもスマートに伝えることができます。
まとめ:相手が警察車両ならマナー以上に慎重な行動を
日常の運転でよく見かける「ありがとう」のクラクションやライトによる挨拶行為。通常の車両相手であれば軽く済む場合がほとんどですが、警察車両に対して行う場合は、違反や注意の対象になる可能性があることを認識しておく必要があります。
交通マナーはあくまで相手への配慮から生まれるものですが、法的なルールに抵触しない範囲で行うことが、トラブルを防ぐためにも大切です。
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