自動車整備業を始めようと考えた際、「認証工場でないと分解整備はできない」「工賃を取らなければ問題ない」など、さまざまな話を耳にすることがあります。
特に中古車販売を中心に行う事業者の場合、自社在庫車の整備をどこまで行えるのか気になる人も多いでしょう。
この記事では、未認証工場で可能な整備範囲や、分解整備と認証制度の関係、中古車販売との法的な違いについて整理して解説します。
そもそも「認証工場」とは何か
自動車整備業では、一定の分解整備を行う場合に「認証工場」の資格が必要になります。
これは道路運送車両法に基づく制度で、安全に関わる重要部分を整備するための基準です。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 認証工場 | 分解整備・特定整備が可能 |
| 指定工場 | 車検ラインを持ち完成検査も可能 |
| 未認証工場 | 認証が必要な整備は不可 |
現在は「分解整備」という言葉に加え、「特定整備」という制度も導入されています。
電子制御装置や安全装備に関わる作業も対象になるため、以前より規制範囲は広がっています。
未認証工場で分解整備はできるのか
結論から言えば、認証が必要な分解整備を事業として行うことはできません。
つまり、顧客から依頼を受けて料金を取るかどうか以前に、「事業として実施すること自体」が問題になるケースがあります。
例えば以下のような作業は、認証が必要になる代表例です。
- ブレーキ関連の分解
- ステアリング機構の分解
- サスペンション周辺の重要部分
- エンジン脱着の一部
そのため、「工賃を取らなければ自由にできる」という単純な話ではありません。
自社在庫車なら合法なのか
ここが非常に誤解されやすい部分です。
中古車販売業者が、自社所有の在庫車を整備して販売するケースは現実にも多くあります。
しかし、だからといって認証が必要な整備を自由に行えるわけではありません。
特に「事業として反復継続して整備を行う」場合、行政から整備事業と判断される可能性があります。
つまり、販売利益名目であっても、実態として認証対象整備を業として行っていれば問題視される余地があります。
古物商許可と整備認証は別制度
中古車販売を行うには、通常「古物商許可」が必要になります。
ただし、古物商許可はあくまで中古品売買の許可です。
整備認証とは全く別の制度であり、古物商を持っていても認証整備が自由になるわけではありません。
| 許可 | 目的 |
|---|---|
| 古物商許可 | 中古品売買 |
| 認証工場 | 分解整備・特定整備 |
この2つを混同してしまう人は意外と多いので注意が必要です。
どこまでなら未認証でも可能なのか
未認証工場でも行える作業はあります。
- オイル交換
- タイヤ交換
- ワイパー交換
- 電球交換
- 内装作業
- 洗車やコーティング
いわゆる軽整備や一般作業の範囲であれば問題ないケースが多いです。
ただし、車種や構造によって境界が曖昧になる場合もあるため、最終的には運輸支局や行政への確認が安全です。
中古車販売店が認証工場と提携する理由
実際の中古車販売業界では、「販売店+外注認証工場」という形が非常に多いです。
これは法令順守だけでなく、責任分担の意味もあります。
例えば販売店側は仕入れ・販売・軽整備を担当し、ブレーキや足回りなどの重要整備は認証工場へ依頼します。
この形なら、法的リスクを抑えつつ事業運営が可能になります。
違反するとどうなるのか
無認証で認証対象整備を行った場合、行政処分や刑事罰の対象になる可能性があります。
また、事故発生時には民事責任も重くなる場合があります。
特に現在はSNSやレビュー文化もあり、違法整備が発覚しやすい時代です。
「昔はやっていた」という話が通用しにくくなっている点にも注意が必要です。
まとめ
未認証工場では、認証が必要な分解整備や特定整備を事業として行うことは基本的に認められていません。
また、「工賃を取らない」「自社在庫車だから」という理由だけで完全に合法になるわけでもありません。
古物商許可は中古車販売のための制度であり、整備認証とは別物です。
中古車販売を継続的に行うのであれば、認証取得や認証工場との提携を視野に入れることが、安全かつ現実的な運営方法と言えるでしょう。


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