ブレーキパッドの摩耗は車の安全に直結する重要な要素です。もしも「パッド残量ゼロ」の状態で走行を続けると、ローターだけでなくキャリパーにも深刻なダメージを与える可能性があります。この記事では、パッドが完全に摩耗した場合の車両への影響と、すぐに対処すべき理由について詳しく解説します。
ブレーキパッドがゼロの状態とは?
通常、ブレーキパッドには数ミリの残量があり、ローター(金属ディスク)との摩擦によって車を止めます。しかし、残量がゼロというのは、パッドの摩材(摩擦材)が完全に削れ、金属のバックプレートがローターに直接接触している状態です。
この状態で走行を続けると、ローターが削られたり、過度な発熱で周囲の部品にも悪影響を及ぼす危険性があります。
ローターの損傷とその交換判断基準
パッドがない状態で走行すれば、ローターには深い傷が付き、変形することもあります。これは「スコアリング」と呼ばれ、表面が波打つことで制動力が低下し、振動や異音の原因にもなります。
一般的にローターが摩耗・変形している場合は、研磨(ローター研削)では対応しきれず、ローターの交換が必要です。交換費用は軽自動車で1万円前後、普通車や輸入車では2〜5万円ほどが相場です。
キャリパーはどうなる?壊れる可能性は?
キャリパーはパッドをローターに押し付ける装置で、ブレーキの核とも言える重要部品です。金属同士が擦れる状態で過熱が続くと、キャリパーピストンやシールが変形・焼損する恐れがあります。
たとえば、「ピストンが固着して戻らない」「ブレーキフルードが漏れる」といった症状が出た場合、キャリパーのオーバーホールや丸ごと交換が必要になります。部品代+工賃で1〜5万円以上の修理費になることも。
「低走行ならセーフ」は本当か?
確かに数百メートル〜数キロの走行であれば、キャリパーまで致命的なダメージに至らないケースもあります。しかしこれは走行環境や使い方によって異なり、「音がするけど少しだけ走っただけだから大丈夫」は非常に危険です。
実際には、1回の急制動でキャリパーが高温になることもあるため、少しでも異変を感じたらすぐに点検・修理することをおすすめします。
すぐにできる対処と予防策
- 異音や振動が出たらすぐに修理工場で確認
- パッド交換は3〜4mm程度を目安に
- 定期点検時に必ずブレーキ残量を確認
- DIYでの判断は危険なので、プロに任せる
特に市街地走行が多い方や、ブレーキを多用する山道を走る方は、早め早めの整備が大切です。
まとめ:ブレーキは命に直結、早めの対処を
ブレーキパッドの残量がゼロの状態での走行は非常に危険で、ローターだけでなくキャリパーの交換が必要になる場合もあります。走行距離が短くても、すでに高温にさらされていれば、部品の内部までダメージを受けている可能性も。
命を守るための部品だからこそ、「まだ大丈夫」と思わず、異常を感じたらすぐに点検・交換を行いましょう。安全第一で、安心してカーライフを楽しんでください。
コメント