ホンダの名車NSR50は2ストロークミニバイクとして今も高い人気を誇ります。しかし旧車であるがゆえに、始動トラブルはつきものです。特に「押しがけでは始動するのにキックではかからない」という症状に悩まされるユーザーも多くいます。この記事では、NSR50のキック始動不可の原因と、その対策方法について詳しく解説します。
押しがけで始動できるがキックでは始動できない理由
押しがけで始動できるということは、燃焼条件がある程度は整っているということです。つまり、「燃料供給」「圧縮」「点火」のうち、大きな問題があるわけではないと考えられます。
しかしキック始動できない場合、「点火系の電圧不足」や「キック時の回転数不足による火花の弱さ」が疑われます。特に旧型NSR50ではCDIやコイルの経年劣化が起きている可能性があります。
最初に確認したいイグニッション系統
まず疑うべきはプラグの火花。押しがけで始動できるが、キックでは火花が弱い、あるいは飛ばないという症状がある場合、次の順で確認してください。
- スパークプラグの劣化・かぶり
- イグニッションコイルの抵抗値異常
- CDIユニットの電圧劣化
- プラグキャップやハーネスの断線
実例として、NSR50初期型でキック時にスパークしないが、押しがけでは火花が確認される場合、CDIを社外新品に交換したことで回復したケースがあります。
キック時にだけ始動しないメカニカルな要因
キック時にだけエンジンがかからないもう一つの要因は「キック時のエンジン回転数が足りない」ことです。これは以下のような条件で起こりやすくなります。
- 圧縮漏れ(ピストンリング摩耗)
- キックギアが滑っていて実際にクランキングされていない
- フライホイールマグネットの磁力劣化
また、クランクシャフトのベアリング摩耗により回転抵抗が大きくなっていると、キックでは火花を出せる回転数に達しないこともあります。
改善に効果的な対処法とカスタム
電装系の劣化が疑われる場合、以下のような改善策が有効です。
- プラグをNGK製の新品に交換(推奨:BR8ES)
- CDIをPOSHやDAYTONA製のハイパフォーマンス品に交換
- イグニッションコイルのリフレッシュ
- アースの見直し(接触不良改善)
また、キック力を高めることで始動性が改善されるケースもあり、キックペダルを交換するライダーもいます。
その他に見逃されがちな原因
エンジン本体に問題がない場合、意外な盲点として「キルスイッチの接触不良」や「イグニッションON時に電源供給が不安定」な事例も存在します。特にハーネスが純正のままの旧車では、電線内部の腐食などで電圧降下が起きることも。
バッテリーレス化している車両では、キックでは始動困難で押しがけなら可能という特性もあるため、キャパシタや電源安定回路の見直しも視野に入れるべきです。
まとめ:キック始動不可は電装と機械の複合要因が多い
NSR50が押しがけで始動できるがキックでは始動できない場合、まずはプラグ・CDI・コイルといった点火系の電装をチェックしましょう。次にキックギアの動作や圧縮状態などのメカニカル要因も見落とさず点検することが重要です。
古い車両ほど原因が複雑になりがちですが、一つひとつ丁寧に確認していくことで、再び快適な始動が可能になるはずです。
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