スポットシーラーはどこに塗布される?自動車製造現場の塗装・溶接工程を解説

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自動車の製造過程では、溶接や塗装の前にさまざまな前処理が行われます。中でもスポットシーラーと呼ばれる材料は、防錆性や耐久性の向上に重要な役割を果たしています。この記事では、スポットシーラーが実際にどこに、どのような目的で塗布されるのかを詳しく解説していきます。

スポットシーラーとは何か?

スポットシーラー(またはスポットシーリング材)は、自動車のボディを構成する鋼板(パネル)同士が合わさる接合面に塗布される特殊なシーリング剤です。これは主に溶接前に塗布され、水分や腐食の侵入を防ぐための防錆処理を目的としています。

接合部に水や塩分が入り込むと錆の原因となるため、スポットシーラーは車両の長寿命化に欠かせない材料です。

スポットシーラーはどこに塗られるのか

スポットシーラーは、基本的に「パネルが合わさる部分全体」に塗布されます。溶接のポイント(スポット)だけでなく、その周囲の重なり面全体に均一に塗られることで、水や空気の侵入を完全にシャットアウトします。

例えば、ドアパネルやフェンダー、ルーフピラーなどの接合部では、数十cmにわたる重なり部分にシーラーが塗られています。これはスポット溶接だけを保護するのではなく、全体的な防錆対策として施されています。

なぜスポット溶接前に塗る必要があるのか

スポットシーラーを溶接前に塗布する理由は、溶接後には塗布が困難になるからです。溶接によって金属が加熱されると、その周辺は変形や酸化が起こる可能性があり、事後の防錆処理では効果が不十分になります。

そのため、製造ラインでは「溶接前に接合部へスポットシーラーを塗る → スポット溶接を行う → 塗装処理を施す」という工程が定着しています。

スポットシーラーの種類と塗布方法

スポットシーラーには水性や溶剤型、1液型や2液型などさまざまな種類があり、自動車メーカーや工程によって使い分けられます。近年では環境対応の観点から水性タイプが増えています。

塗布方法は専用のノズルやロボットアームを使って自動的に行われることが多く、均一な厚さでの塗布と高い再現性が求められます。手作業の場合も、職人の熟練技術が重要となります。

スポットシーラーと他のシーリング材との違い

スポットシーラーは溶接前に塗布されるのに対し、シームシーラーアンダーコートなどは溶接や組立が完了した後に塗布されます。これらは防音や防振、防水性の向上などを目的とした後工程の材料です。

それぞれの材料は目的が異なるため、工程の中で適切に使い分けられています。これにより、最終的な車両の品質と耐久性が確保されるのです。

まとめ:スポットシーラーは溶接部全体をカバーする重要な材料

スポットシーラーは、自動車製造において接合部全体に塗布される防錆材であり、スポット溶接する箇所「だけ」でなく、パネルが重なり合うすべての面に塗られるのが一般的です。

その役割は車両の耐久性や品質維持に直結しており、見えない部分で車の安全性を支える重要な存在といえるでしょう。

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