2ストロークバイクの整備において、排気ポートやエキゾーストフランジのシーリング処理には液体ガスケットの選定が重要です。特に、排気にガソリンが含まれるかどうかは、どのタイプのガスケットを使うかの判断材料になります。この記事では、2ストバイクの排気成分の特性やおすすめのガスケットについて詳しく解説します。
2ストロークエンジンの排気に含まれる成分とは
2ストロークエンジンは構造上、掃気と排気がほぼ同時に行われます。このため、未燃焼の混合気(ガソリンとオイル)が一部排気に混じって排出されることがあり、排気ガス中にガソリン分が含まれるのは避けられません。
この特性は特にアイドリング時や低回転域で顕著で、マフラー先端がベタつく、オイル焼け臭が強いなどの症状として現れます。
排気ポートのシールに使う液体ガスケットの選び方
こうした背景から、排気ポート周辺には耐熱性と耐ガソリン性の両方を備えた液体ガスケットが必要です。一般的な耐熱シリコン系では、ガソリンが接触すると膨潤したり剥離する恐れがあります。
おすすめは、スリーボンドの1215、YAMABOND 1212、Permatex Ultra Copperなど、耐油・耐ガソリン・耐熱(300℃以上)を明記している製品です。
ガソリン耐性がないとどうなる?
耐ガソリン性が不十分な液体ガスケットを使うと、揮発したガソリン分により膨張・劣化が進み、最終的に排気漏れ・再施工・最悪エンジンの熱損傷といったリスクにつながります。
特に排気ポート周辺は数百度の高温に達するため、ガスケットが焼き切れた際にオイルも燃え、エキパイが焦げるなどの問題も引き起こします。
実例:YAMAHA RDやSUZUKI RGでの整備経験から
例えば旧車のYAMAHA RDやSUZUKIのRG系2ストモデルでは、排気ポートガスケットの滲みに悩まされるケースが多くあります。純正の紙ガスケットだけでは密封しきれず、液体ガスケットを併用して施工する整備方法が定着しています。
この際、耐ガソリンタイプの液体ガスケットを使用した例では2年以上メンテ不要だったという報告もあり、整備品質に直結する重要ポイントです。
液体ガスケットを使う際の施工のポイント
- 塗布面は必ず脱脂し、古いガスケット残りを完全除去
- 塗布量はごく薄く、均一に
- 組み付け後は指定時間の乾燥(24時間以上が理想)
また、締付トルクの確認や経年劣化の点検も定期的に行うと安心です。
まとめ:2ストの排気はガソリン混じり、だからこそ耐ガソリン液体ガスケットが必須
2ストロークバイクでは未燃焼ガソリンが排気に混じるのが構造上の宿命です。そのため、排気ポートやエキパイのシーリングには「耐ガソリン」仕様の液体ガスケットを選ぶべきです。
愛車のコンディションを維持し、排気漏れやマフラーの焼き付きといったトラブルを未然に防ぐためにも、整備には正しい知識と適切な材料選定が欠かせません。
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