FRP(繊維強化プラスチック)製の燃料タンクや外装パーツを、自分好みに塗装して楽しむ人が増えています。しかし、塗装の仕上がりや耐久性には正しい下処理と塗装手順が不可欠です。特にガソリンに接する部分の場合、使用する塗料やクリア剤の選定も重要になります。この記事では、FRPタンクの塗装手順や必要な道具、耐ガソリン性のポイントについて詳しく解説します。
FRPタンク塗装の基本工程
FRPタンクへの塗装は、以下の工程で進めるのが基本です。
- 既存塗膜の足付け(耐水ペーパーで表面処理)
- 脱脂(シリコンオフなどを使用)
- 下地処理(プラサフまたはFRP対応プライマー)
- カラースプレー(ラッカーやウレタン)
- 耐ガソリンクリアでコート
とくに最初の足付けと脱脂を怠ると、塗膜の剥がれや浮きの原因になります。既に黒色で塗装されているタンクでも、耐水ペーパー(#800〜1000)で全体を軽く均してから作業を始めましょう。
ラッカー塗装と耐ガソリンクリアの相性
ラッカースプレーは入手しやすく手軽な反面、ガソリンに対して非常に弱い性質があります。そのため、必ず耐ガソリン性能のある2液性クリア塗料で仕上げる必要があります。1液式クリアや普通のアクリルクリアでは、ガソリンの飛沫で溶けたり曇ったりするリスクがあります。
おすすめはウレタンクリア(2液型)で、耐候性と耐ガソリン性に優れています。ただし、混合や施工には換気や安全対策も重要です。
足付けは必須!既存塗装を活かすポイント
既に塗装されている黒色の表面には足付け処理が必須です。足付けとは塗料の密着を良くするために細かなキズを付ける工程で、#800〜1000程度の耐水ペーパーで優しく擦り、つやを消します。
この時に注意したいのは、強く削りすぎてFRP基材が露出しないようにすること。表面の脱脂も忘れずに行い、シリコンオフなどを使って油分を完全に除去してください。
仕上がりの美しさを左右する塗装の重ね方
塗装時は一度に厚塗りせず、薄く均一に複数回重ねるのがポイントです。ラッカー塗装の場合、乾燥が早いので、1回目→10分乾燥→2回目→10分乾燥……といったペースで数回重ねるとムラなく綺麗に仕上がります。
色がしっかり出たら、24時間程度しっかり乾燥させた後に、耐ガソリンクリアを数回に分けて吹き付けます。最終的に2〜3日しっかり乾燥させて完成です。
塗装後の取り扱いと注意点
塗装完了後すぐにガソリンを注ぐと、塗膜が軟化してしまう可能性があります。特にウレタンクリアは硬化に時間がかかるため、最低でも48時間は乾燥させましょう。
また、定期的に表面をチェックし、クリア層が劣化してきた場合は早めの再塗装や補修を検討してください。
まとめ:正しい手順と資材選びがDIY塗装の成功のカギ
FRPタンクの塗装は、工程を正しく踏めばDIYでも十分可能です。足付け処理と脱脂をきちんと行い、ラッカースプレーの上には必ず耐ガソリン性のウレタンクリアを重ねましょう。
ガソリンや紫外線にさらされる部品だからこそ、丁寧な下地作りと適切な塗料の選定が美しさと耐久性の両立に繋がります。初めての方でも焦らず、丁寧に作業すれば長く愛せる仕上がりが手に入ります。
コメント