幼稚園やデイサービス、旅館などで送迎用車両を運転する際、「二種免許が必要なのか?」と疑問に思う方は少なくありません。この記事では、二種免許が必要になるケースと不要なケースの違いを法律的根拠を踏まえて解説します。
二種免許が必要になる運転とは
道路交通法では、旅客を有償で運送する場合に「第二種運転免許」が必要と定められています(道路交通法第84条)。ここでいう「有償」とは、運転行為自体で対価を得る場合を指します。
たとえば、タクシーやバスなど、運転を通じて金銭の授受がある業務には二種免許が必要です。また、送迎自体に料金が発生しなくても、実質的に運送が有償とみなされる場合(例:便乗料が明示的に価格に含まれているなど)も対象となることがあります。
二種免許が不要な送迎の代表例
一方で、次のようなケースでは原則として二種免許は不要とされています。
- 幼稚園バス:保育料に送迎費用が含まれていない、または「サービスの一環」と明記されている場合
- デイサービス車両:介護報酬の中で送迎が提供されており、運転が主要な対価となっていない
- 旅館送迎車:宿泊客に無料で提供している送迎(駅や観光地への送り迎え)
これらは「営利運送」に該当しないとされており、一般の普通免許でも運転可能です。
グレーゾーンに注意!判断が難しいケースとは
例えば、次のような場合は注意が必要です。
- 送迎だけを依頼された(宿泊・通所契約がない)
- 外部の事業者に依頼し、送迎に対して報酬を支払っている
- 形式上無料でも、実質的に送迎サービスを別料金として計上している
このような場合、実質的な「有償運送」と判断されることもあり、自治体や警察の見解によっては二種免許が必要とされる可能性もあります。
実例:デイサービス送迎ドライバーの場合
ある介護事業所では、利用者の自宅から施設までを1日2回送迎しています。運転手は施設職員で、介護報酬の中に送迎も含まれています。このようなケースでは、運転が主たる対価ではないため二種免許は不要とされています。
ただし、外部委託で「運転のみ」を報酬として契約している場合は、契約ドライバーに二種免許が必要になることもあるため注意が必要です。
トラブルを避けるためのチェックポイント
業務上の送迎で二種免許が必要かどうか判断に迷う場合、以下の項目を確認してみましょう。
- 送迎に料金は発生しているか(直接・間接を含め)
- 運転手は施設職員か外部委託か
- 契約書や案内文に「送迎費用」や「別料金」と明記されていないか
- 過去に類似の業務で指導や行政指摘を受けた事例があるか
さらに明確にしたい場合は、警察署や陸運局に直接確認することが確実です。
まとめ:送迎業務に必要な免許の考え方
送迎行為自体が「直接的に営利目的で対価を得ているかどうか」が二種免許の必要性を左右します。幼稚園やデイサービス、旅館などでの送迎が施設のサービスの一部として無償提供されている場合、通常は普通免許で運転可能です。
一方、外部委託や送迎単独契約など「運転が主目的」とみなされるケースでは、二種免許が求められる可能性があるため、運用内容と契約内容をよく確認し、必要に応じて行政機関へ相談することをおすすめします。
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