エンジンの点火系統に不具合があると、走行時の不調やエンストの原因になることがあります。特に、新品の点火プラグを交換しても1週間ほどでスパークしなくなる場合、イグニッションコイルの不良が疑われます。
本記事では、イグニッションコイルが点火プラグの故障を引き起こす可能性や、その原因、対策について詳しく解説します。
イグニッションコイルとは?
イグニッションコイルは、車のエンジンに搭載されている点火系統の重要な部品です。バッテリーの低電圧(12V)を高電圧(数万ボルト)に変換し、スパークプラグ(点火プラグ)に供給することで、燃焼室内の混合気に点火します。
つまり、イグニッションコイルが正常に機能しないと、点火プラグが適切にスパークせず、エンジンの不調につながります。
イグニッションコイルの不良が点火プラグに与える影響
イグニッションコイルが不良になると、点火プラグの寿命を縮めたり、異常燃焼を引き起こしたりすることがあります。具体的な影響としては以下のようなものが挙げられます。
1. 過電圧による点火プラグの焼損
イグニッションコイルが不良を起こすと、異常に高い電圧が点火プラグに供給されることがあります。これにより、点火プラグの電極が早期に消耗し、スパークしなくなることがあります。
特に、以下のような症状が見られた場合は、イグニッションコイルの過電圧が疑われます。
- プラグの電極が極端に摩耗している
- プラグのセラミック部分が割れている
- スパークの火花が不安定
2. 不十分な電圧供給による失火
逆に、イグニッションコイルの出力電圧が低すぎると、点火プラグが正常にスパークできず、エンジンの不調を引き起こします。
この場合、次のような症状が現れることがあります。
- アイドリングが不安定
- エンジンの加速が鈍い
- エンストしやすい
新品の点火プラグを交換してもすぐにスパークしなくなる場合は、イグニッションコイルの劣化による電圧不足が原因かもしれません。
イグニッションコイルの不良を診断する方法
イグニッションコイルの故障を特定するためには、以下の診断方法を試してみてください。
1. エンジンチェックランプの確認
イグニッションコイルが正常に作動していない場合、エンジンチェックランプ(CEL)が点灯することがあります。OBD2スキャナーを使ってエラーコードを確認すると、以下のようなコードが表示されることがあります。
- P0300(複数の気筒でミスファイア発生)
- P0301~P0304(特定の気筒でミスファイア発生)
- P0351~P0354(イグニッションコイルの異常)
2. 点火プラグの状態をチェック
点火プラグを取り外し、以下のような異常がないか確認します。
- 電極が過度に摩耗していないか
- プラグの先端にオイルやカーボンが付着していないか
- スパークテストを行い、火花が正常に出るか
もし1週間ほどで新品のプラグが機能しなくなる場合は、イグニッションコイルの故障が疑われます。
3. イグニッションコイルの抵抗値を測定
テスターを使用してイグニッションコイルの抵抗値を測定し、規定範囲外であれば故障の可能性が高いです。正常な抵抗値は車種によって異なりますが、一般的には以下の範囲です。
- 一次コイル:0.5Ω~2Ω
- 二次コイル:6kΩ~20kΩ
イグニッションコイルの交換と対策
イグニッションコイルが原因で点火プラグがすぐに故障する場合、コイルの交換が必要です。
1. イグニッションコイルを新品に交換
イグニッションコイルは、走行距離10万km前後で劣化することが多いため、長期間交換していない場合は交換を検討しましょう。
純正品と社外品のどちらを選ぶかは、耐久性とコストのバランスを考慮するのがポイントです。
- 純正品:耐久性が高く、長期間安定して使用できる
- 社外品:コストは安いが、品質にバラつきがあることも
2. 点火プラグもセットで交換
イグニッションコイルが不良の状態で使用していた点火プラグは、ダメージを受けている可能性が高いため、コイル交換と同時に新品の点火プラグに交換するのが望ましいです。
まとめ:イグニッションコイルの不良が点火プラグの寿命を縮める
イグニッションコイルが不良になると、過電圧や電圧不足が発生し、点火プラグの寿命を縮める原因になります。新品の点火プラグに交換してもすぐにスパークしなくなる場合は、イグニッションコイルの故障を疑いましょう。
以下のポイントを確認し、適切な対処を行うことが重要です。
- エンジンチェックランプのエラーコードを確認
- 点火プラグの状態をチェック
- イグニッションコイルの抵抗値を測定
- コイルが劣化している場合は交換を検討
適切なメンテナンスを行い、エンジンの不調を未然に防ぎましょう!
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