ゼファー1100のエンジンオーバーホール後に発生するバックファイヤーやアフターファイヤーは、多くの要因が絡む可能性があります。特に、シリンダー研磨やバルブすり合わせ、ピストン交換後に発生しているため、組み付けや調整の問題が考えられます。本記事では、考えられる原因と対策について詳しく解説します。
1. バックファイヤー・アフターファイヤーの違い
まず、バックファイヤーとアフターファイヤーの違いを整理します。
- バックファイヤー: 燃焼室内で異常燃焼が起こり、インテーク側(キャブレターやスロットル)へ炎が逆流する現象。
- アフターファイヤー: 燃え残った燃料がエキゾースト内で燃焼し、マフラーから爆発音が発生する現象。
2. 考えられる原因と対策
今回のゼファー1100の症状を考慮し、以下の点を重点的にチェックしてください。
① バルブタイミングの確認
バルブタイミングを確認済みとのことですが、カムシャフトの位置ズレやバルブクリアランスの不適正も影響する可能性があります。
- カムチェーンの張りを再チェックし、カムスプロケットの位置を再確認。
- バルブクリアランスが適正値(IN:0.13〜0.18mm、EX:0.18〜0.23mm)内に収まっているか確認。
- シム調整が適切かを点検(シムの組み付けミスがないか)。
② 点火系の問題
点火系が純正のままとのことですが、オーバーホール後の点火時期のズレが原因になる可能性があります。
- 点火時期が適正か、タイミングライトを使用して確認。
- プラグの焼け具合を再チェック(黒くススが付くなら燃調が濃い)。
- イグニッションコイルの劣化:点火電圧不足による失火がないか、テスターで抵抗値を測定。
③ 燃調の確認(キャブレター設定の見直し)
MJ130、PJ27.5でセッティングされているとのことですが、以下の点を確認してください。
- アイドリングで黒煙を吹くか? → メインジェットが濃すぎる可能性
- スロットル開度1/4でかぶるか? → ニードルクリップの位置を変更(1段上げる)
- 燃料供給の安定性 → フロートバルブの作動確認、燃料フィルターの詰まり点検
④ 圧縮圧力の測定
ピストン交換後のエンジン組み付けで圧縮が適正でないと、燃焼効率が悪くなり、バックファイヤーが発生しやすくなります。
- ゼファー1100の標準圧縮値: 10〜12kg/cm²(新品状態)
- 10kg/cm²を下回る場合は、ピストンリングの組み付けミスやバルブシートの密閉不良が疑われる。
⑤ エア吸気漏れの可能性
シリンダーヘッドやインテークマニホールドの隙間からエアを吸っていると、混合気が薄くなりバックファイヤーを起こします。
- キャブレター周りのガスケット交換(エア漏れ点検スプレーを使ってチェック)
- インテークマニホールドの割れ(ゴム製部品の劣化確認)
3. 具体的なチェック・調整手順
上記の要点を踏まえ、以下の順番でチェックすると原因が特定しやすくなります。
- 圧縮圧力の測定(10kg/cm²以下ならリング・バルブの問題)
- 点火時期の確認(タイミングライトで点火時期を適正値に合わせる)
- キャブレターの燃調確認(プラグの焼け具合・MJ/PJの番手調整)
- エア漏れの点検(スプレーチェックで吸気系の確認)
4. まとめ
- ゼファー1100のエンジン不調はバルブタイミング、燃調、点火系、吸気漏れが原因の可能性。
- バルブクリアランスやカムタイミングを再確認し、適正値に合わせる。
- プラグの焼け具合やキャブレターの燃調を調整し、濃すぎる場合はメインジェットを1段階下げる。
- エア吸気漏れがないか確認し、マニホールドのガスケットやゴム部品を点検。
- 圧縮圧力を測定し、基準値を下回る場合はピストンリングやバルブの密閉不良を疑う。
これらのチェックと調整を行うことで、ゼファー1100のバックファイヤーやアフターファイヤーが改善される可能性が高まります。ぜひ試してみてください。
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