自動車の新車製造で塗装はいつ行われる?人気色と生産効率の関係とは

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新車の製造プロセスには、最新の技術と緻密なスケジュール管理が取り入れられています。とくにボディカラーの選定や塗装タイミングは、需要予測と効率性のバランスが求められる重要な工程です。この記事では、車体塗装がどのタイミングで行われるのか、そして人気色の扱いについて解説します。

塗装は車体製造のどの段階で行われる?

自動車製造の工程において、車体の塗装はボディ組立後すぐに行われる主要工程のひとつです。塗装ブースと呼ばれる専用設備で、プライマー、中塗り、上塗りの順に丁寧に塗られ、乾燥と検査を経て完成します。

塗装は車体の防錆や美観だけでなく、品質の一貫性にも大きく関わるため、後付けで行うことは基本的にありません。したがって「塗装だけ先にしておく」というよりは、塗装は車体組立ラインに沿った標準工程の中で行われます。

人気色は先に塗装されるのか?

結論から言うと、人気色が「在庫車」としてあらかじめ一定数生産されていることはあります。たとえば白や黒、シルバーなどの需要が高い色は、特定のグレードで予測的に先行生産されることがあります。

これは受注生産に対する「即納車」のニーズに対応するためです。ただし、これは販売戦略の一環であり、顧客ごとの個別注文では通常、注文内容が確定してから塗装工程に進むため、あらかじめ塗装されているわけではありません。

車体とパーツの組み立て順序と塗装の関係

製造ラインではまずボディ(白いままのボディ=ホワイトボディ)が組み立てられ、これに対して塗装が行われます。その後、内装、エンジン、足回り、電装品などの装着が進みます。

この順序により、塗装が済んでからパーツ装着に入るため、塗装を後回しにするということはほぼ不可能です。塗装は「中核工程」であり、順序を変えることは品質や効率の観点から行われません

メーカー在庫とディーラー在庫の違い

人気色はメーカー側で計画生産されることもありますが、実際に販売される「在庫車」はディーラーが仕入れて保管している場合もあります。ディーラー在庫は販売予測に基づき構成され、需要の高いボディカラーやグレードが中心になります。

そのため、人気色は「先に塗装された車両がある」と認識されがちですが、実態は「塗装済みの完成車が在庫としてある」ということにすぎません。

実例:トヨタやホンダの人気色戦略

たとえばトヨタでは、人気の白(スーパーホワイトⅡ)や黒(アティチュードブラックマイカ)が、車種やグレードを問わず注文される傾向があります。そのため、これらの色は即納可能な車両としてある程度在庫されるよう調整されているとされます。

ホンダでも、「プラチナホワイト・パール」や「クリスタルブラック・パール」といった人気カラーを中心に、先行生産が組まれることがあるようです。ただし、これらも注文前に塗装だけを済ませておくということではありません。

まとめ:塗装は後付けではなく一体工程の一部

・車体の塗装は製造工程の早い段階で行われる標準工程
・人気色は先行生産されることもあるが、それは完成車としての話
・塗装だけ先にしておいて後でパーツをつけるという工程はない
・品質・効率・工程の都合上、塗装と組み立ては密接に連動している

人気色の需要と生産効率を両立するために、自動車メーカーは戦略的に在庫管理や生産ラインを設計しています。塗装はその中核に位置する工程であり、「後から」という考え方は製造の現実とは異なります。

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