暖機後に突然エンストしてしまい、再始動も難しい—そんな不具合に悩まされているバイクユーザーは少なくありません。特に年式の古い車両、たとえば1998年式のドラッグスター400などでは、経年劣化によるトラブルも多く発生します。この記事では、暖まった後にエンジンが止まる・かからない・アフターファイヤが出るといった症状の原因と対処法について解説します。
症状から読み解く:暖気後のエンストと再始動不能
暖まるとエンジンがストールし、アクセルを開けないと再始動できない。こうした症状は「熱により何かが正常動作しなくなる」兆候です。再始動できてもスロットルを戻すと止まるということは、アイドリング保持ができていない=燃料供給か点火に関わるトラブルが濃厚です。
さらに「一時間ほど冷却すれば再始動できる」となると、明らかに熱による変化が原因であると考えられます。
考えられる原因①:イグニッションコイルやCDIユニットの熱不良
古い車両では、点火系部品の経年劣化が頻繁に起きます。特にイグニッションコイルやCDIユニット(点火制御装置)は熱で内部抵抗が変化し、正常に火花を飛ばせなくなることがあります。
この現象は「冷えているときは動くが、温まると動かない」といった症状を引き起こします。CDI不良の兆候は、アフターファイヤ(失火による燃焼ガス爆発)としても現れます。
考えられる原因②:キャブレターのセッティング不良またはパイロット系の詰まり
1年前にキャブレターオーバーホール済とのことですが、保管状態やガソリンの質によっては再度パイロットジェットが詰まる可能性もあります。特にアイドリング時に燃料を供給するパイロット系が詰まると、アクセルを開けないと燃料が供給されず、エンジンが止まってしまう症状が出ます。
加えて、パイロットスクリューの調整不足や、アイドル回転数が低すぎる設定も併発していれば、なおさら安定しません。
考えられる原因③:負圧系や燃料供給ラインの異常
ドラッグスター400はキャブ車で、燃料供給に負圧式のペットコックを使用しているモデルもあります。この負圧ホースが劣化・破損していると、エンジンに十分な燃料が行き渡らずにエンストする原因となります。
さらにタンクの通気不良(エア抜き穴が詰まっているなど)も燃料供給不足を引き起こしやすく、同じく長距離走行後や暖気後のエンストとして現れることがあります。
考えられる原因④:センサーやスイッチ類の熱劣化
車体によっては、キルスイッチやスタンドスイッチ、クラッチスイッチといった安全装置もエンジン始動に関係します。これらが熱で接触不良を起こすと、特定の条件下で始動不能になることも。
特にスタンドスイッチは水や泥にさらされやすいため、スイッチの分解清掃や接点復活剤の塗布で症状が改善される場合があります。
対策とチェックすべき優先順位
- 点火系部品の動作確認:CDIやイグニッションコイルは、冷間・温間の抵抗値をテスターで測定。
- 再度キャブのパイロット系清掃:特に燃料添加剤を試すのも一法。
- 負圧ホースや燃料フィルターの確認:ひび割れ、硬化、詰まりを重点的にチェック。
- スイッチ類の動作確認:スタンドスイッチ、キルスイッチの導通を点検。
症状が出るまでの時間や状況を記録し、再現性のある条件下で原因を絞っていくのが基本です。
まとめ:古いバイクの不調は「熱」×「劣化」を疑え
今回のような「暖まると止まる」「冷めると再始動できる」といった症状は、熱の影響で劣化した部品が不調を起こしているサインです。点火系・キャブ系・燃料供給系のいずれもが候補となるため、テスターや清掃による消去法で原因を突き止めるのがベストです。
同様の症状に悩むユーザーの事例からも、CDI交換やパイロットジェットの洗浄で改善するケースが多く見られます。安全のためにも、しっかりとした点検整備を心がけましょう。
コメント