未整備の中古バイクを手に入れた際、まず気になるのがエンジン内部の状態です。オイルがカフェオレ色になっていたら、思わず何らかの“洗浄”を試みたくなるもの。今回は、ホームセンターなどで手に入る安価なオイルを使ってエンジン内部の簡易洗浄、いわゆる“なんちゃってフラッシング”について解説します。
本格的なフラッシングと簡易洗浄の違い
本格的なフラッシングは、専用のフラッシングオイルや添加剤を使用し、エンジン内部のスラッジやカーボンをしっかり除去する作業です。プロ整備士や上級ユーザー向けの手法といえるでしょう。
一方、“なんちゃってフラッシング”とは、比較的安価なオイルを使って短時間だけアイドリング運転し、内部を軽く洗い流す目的で行う簡易的な方法です。すべての汚れを落とすわけではありませんが、精神的な安心感とある程度の効果が期待できます。
安物オイルの選び方と注意点
ホームセンターで購入できるG1グレードの鉱物油(10W-30や10W-40)がよく使われます。ブランドでいえば「カストロールGTX DC-TURBO」「AZ MEG-013」などが候補です。
ただし、あくまで一時的に使用するものであり、長期間使用する前提では作られていないため、15分程度のアイドリング後にはすぐ排出・本番のオイルへ交換しましょう。
“なんちゃってフラッシング”の手順
1. 廃油受けと工具を準備
2. 安価なオイルを規定量注入
3. アイドリング5〜15分(走行は不要)
4. エンジン停止後、すぐに排出
その後、オイルフィルターもできれば同時に交換し、新しい本命オイル(例:ホンダ純正G2やヤマルーブ)を注入します。内部がある程度スッキリし、安心感も得られるはずです。
実例:カフェオレ色オイルの処置体験
あるユーザーは、ヤフオクで購入した250ccのバイクで、初期オイルが明らかに乳化していたため、AZの鉱物油を利用して15分間アイドリング。廃油は若干黒ずみ、鉄粉混じりのスラッジも見られたとのこと。
その後G2オイルに交換し、フィルターも新品へ。100km走行後の再確認でも透明度のあるオイル状態を維持できたとのレポートが残っています。
こんなケースではやらない方がいい
・水冷エンジンでクーラント混入の疑いがある場合(乳化の原因が冷却水なら先に修理が必要)
・スラッジが極端に多く、内部が完全に詰まっている恐れがある場合(簡易洗浄では対処不可)
・クラッチが湿式多板式で繊細なエンジン(添加剤が滑りを引き起こす場合)
このような車両では、本格整備または専門店への相談が望ましいです。
まとめ:安価オイルを上手に使えば精神的にも実質的にも効果アリ
なんちゃってフラッシングは、未整備車を手にしたライダーにとって「まず試したいリフレッシュ法」です。安価な鉱物油を上手に使えば、エンジン内部の汚れをある程度除去できるだけでなく、その後のオイル交換の効果も高まります。
ただし、目的とリスクを理解したうえで、過信せずに“洗浄の一助”として活用するのがベストです。車両の状態に応じて、必要であればプロの判断も仰ぐようにしましょう。
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