スズキZZ(CA1PB)における加速不良や最高速の伸び悩みは、特にカスタム後に発生しやすい問題の一つです。本記事では、0〜50km/hはスムーズに加速するものの、50km/hを超えると回転数が落ち込み、60km/hに届かないという症状について考察し、解決策を提案します。
1. 症状の整理とポイント
今回のスズキZZの症状を整理すると、以下の点が特徴的です。
- 0〜50km/hは5秒程度で加速し、高回転でスムーズに上がる。
- 50km/hを超えたあたりで回転数が下がり、加速が鈍る。
- 平地では60km/hに届かず、坂道でようやく60km/hに達する。
- ウェイトローラーの変更(5.0g×3・5.5g×3 → 6.5g×6)でも症状は変わらず。
- センタースプリングを3%固めのものに変更するも大差なし。
- アイドリングは安定しており、スロットル一定保持でも不安定な挙動なし。
- 走行距離10〜15kmを超えると50km/hまでの加速も遅くなる。
2. 考えられる原因
症状を踏まえると、以下の原因が考えられます。
① ベルトの滑りによるパワーロス
駆動系の消耗やセッティング不良により、50km/hを超えたあたりでベルトが滑り、動力がうまく伝達されていない可能性があります。
- 駆動ベルトの摩耗確認:新品と比較し、幅の減少が見られる場合は交換を推奨。
- プーリーとトルクカムのグリス確認:潤滑不足や異物混入がないか点検。
② ウェイトローラーの適正重量
6.5g×6では発進が鈍くなり、5.0g×3・5.5g×3では中速域で失速しているため、適正なウェイトバランスを再検討する必要があります。
- ウェイトローラーのバランス見直し:5.5g×6や、5.0g×6などのセッティングを試す。
- プーリー溝の摩耗確認:溝の摩耗により適正な変速ができていない可能性。
③ 燃料供給の不足
高回転域で燃料供給が追いついていない可能性があります。
- メインジェットの番手調整:現在75番を使用しているが、もう1段階上げて80番を試す。
- ターボフィルターの影響確認:エアフィルターが薄すぎると燃料が不足しやすくなるため、吸気バランスの再調整。
- 燃料ホースやキャブレターの詰まり確認:長期間使用したキャブレター内部のジェットやフロートバルブの清掃。
④ イグニッション系統の影響
イグニッションコイルの劣化により高回転時の火花が弱くなる可能性。
- プラグの状態確認:焼け具合をチェックし、白っぽすぎる場合は燃料不足の可能性。
- イグニッションコイルの抵抗値測定:低抵抗になっていると高回転域で失火する可能性あり。
3. 実施すべきチェック項目と改善策
症状を解決するために、以下のチェックを行いましょう。
- 駆動系の点検・調整
- 駆動ベルトの交換(摩耗が進んでいる場合)
- プーリー溝の清掃とグリス塗布
- ウェイトローラーの見直し(5.5g×6、5.0g×6など)
- 燃料供給の確認
- メインジェットの番手変更(75 → 78~80)
- キャブレター内部の清掃
- ターボフィルターの再調整
- 点火系統のチェック
- イグニッションコイルの抵抗測定
- スパークプラグの再点検(7番 → 8番も検討)
4. まとめ
- 50km/hを超えたあたりで失速する原因は、駆動系の問題、燃料供給不足、イグニッションの不調が考えられる。
- 駆動ベルトやプーリーの摩耗を確認し、ウェイトローラーのバランスを見直す。
- メインジェットの番手を変更し、キャブレターの清掃を行う。
- イグニッションコイルやスパークプラグの状態をチェックし、高回転域での失火を防ぐ。
これらの点検・調整を行うことで、スズキZZの加速不良が改善される可能性が高まります。試行錯誤しながら、最適なセッティングを見つけてください。
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