ハーレーダビッドソン・エボリューション(エボ)エンジン搭載車で、ポイント点火式を採用している場合、点火コイルの異常がエンジン不調や始動困難の原因になることがあります。特に1次側と2次側の抵抗値をテスターで測定する診断は、重要なチェックポイントです。本記事では、コイルの故障診断とその対処法をわかりやすく解説します。
点火コイルの基本構造と役割
点火コイルは、バッテリーからの12V電圧を高電圧(数万ボルト)に変換し、スパークプラグへ電気を送る装置です。1次側はバッテリー接続側、2次側はプラグコードに繋がる高電圧側です。
エボのようなポイント点火車では、1次コイルが断続的に通電・遮断されることで2次側に誘導電流が発生し点火されます。
正常なコイルの抵抗値の目安
一般的なアナログタイプの点火コイルの抵抗値は以下の通りです。
- 1次側:おおよそ3~5Ω
- 2次側:おおよそ8,000~12,000Ω(8~12kΩ)
2次側の抵抗が全く測定できない(∞または表示なし)場合、内部の巻線が完全に断線している可能性が高く、コイルは故障していると判断されます。
コイルの故障診断でよくある落とし穴
テスターの使い方によっては、正常な抵抗値が表示されない場合もあります。以下の点に注意してください:
- テスターがkΩ(キロオーム)レンジに設定されていない
- 端子の接触が不十分
- プラグコードに防水キャップなどがついて測定誤差が出ている
それでも値が全く表示されない場合は、やはり2次側コイルの断線と考えるのが妥当です。
交換の際の注意点と互換性
エボのポイント点火車両には「ポイント点火用」のコイルを選ぶ必要があります。電子制御点火(CDIやTCI)用とは内部構造が異なり、誤って使用すると点火しない、もしくはコイルがすぐ焼損します。
選ぶ際は「5Ω以上」「12V対応」「ポイント点火向け」の記載を確認しましょう。純正または品質が確かな社外品の利用が安心です。
実際の故障事例とその対処法
実例として、あるユーザーが5Ωの1次側抵抗は正常だったものの、2次側はまったく計測できず、エンジンが不着火。新品コイルに交換したところ、始動性とアイドリングが劇的に改善しました。
また、使用年数が10年以上経過したコイルは経年劣化により絶縁不良や断線が起きやすく、症状が出ていなくても予防交換を検討してもよいでしょう。
まとめ:コイルの2次側が無反応なら基本は「交換」
ハーレーのポイント点火車で、1次側は正常なのに2次側が全く反応しない場合、内部断線の疑いが極めて濃厚です。こうした場合は修理よりも新品への交換が確実です。
バイク屋に相談する際には、抵抗値の計測結果を伝えることでスムーズな診断につながります。信頼できる製品を選び、再び快適なハーレーライフを楽しみましょう。
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