MH23S型スズキ・ワゴンRの純正オーディオからフロントスピーカーへ来ている配線を利用し、純正フロントスピーカーを外して別の小型スピーカーへ接続したい場合、気になるのが純正配線の太さ(sq・スケア)です。
ただし、MH23Sの純正スピーカー線について、スズキが一般向け資料で導体断面積を「○sq」と明記した仕様値は確認しにくいため、現車確認なしに純正線を0.5sqなどと断定するのは避けたほうが安全です。自動車メーカーの純正ハーネスは、市販のAVコードのように必ず「0.5sq」と表示されているわけでもありません。
一方、純正オーディオのスピーカー出力を利用して短い距離だけ延長する用途なら、純正線と完全に同一の太さへそろえる必要は通常ありません。重要なのは、適切な太さの自動車用配線を使い、左右・プラスマイナスを正しく接続し、スピーカーのインピーダンスやオーディオ側の条件を守ることです。
MH23S純正スピーカー配線のsqは現物確認が確実
電線の「sq」は導体の断面積を平方ミリメートルで表したものです。例えば0.5sqなら導体断面積が約0.5mm²という意味であり、コードの外径そのものを表しているわけではありません。被覆を含めた外径をノギスで測っても、そのままsqには換算できない点に注意が必要です。
MH23Sの純正ハーネスについては年式、仕様、装備などによる違いも考慮する必要があり、一般公開されている取扱説明書だけからフロントスピーカー線の導体断面積を特定するのは困難です。スズキはワゴンRの過去の取扱説明書を公開していますが、オーディオ用ハーネスの各電線について市販コードと同じ形でsq値を示した資料ではありません。[参照:スズキ]
どうしても純正と同じ断面積に合わせたい場合は、車両配線図・整備資料で線種を確認するか、配線を傷つけない方法で実物を確認してスズキ販売店などへ照会するのが確実です。
ミニスピーカーへの延長なら0.5sq前後を目安にできる
純正オーディオ内蔵アンプで一般的な車載スピーカーを鳴らす程度なら、延長部分に極端に太いスピーカーケーブルを使用する必要はありません。短距離の延長であれば、0.5sq前後の自動車用AV線・スピーカーコードは実用上選択しやすいサイズです。
例えばエーモンの0.5sq配線コードはDC12V車で60W以下という使用可能電力の目安が示されています。車載用として耐熱・耐油性を考慮した製品を選ぶことが重要です。[参照:エーモン]
スピーカー配線では往復する2本の電線を使用するため、市販のスピーカーコードを使っても構いません。純正線より多少太い線を延長部分に使用しても、それ自体がスピーカーや純正オーディオを壊す原因になるわけではありません。
つまり「純正が仮に細い線だから、延長線も1/100mm²単位まで同じ太さにしなければならない」という考え方は不要です。むしろ接続部分の接触不良やショートを防ぐ施工のほうが重要です。
フロントスピーカーを外して既存配線を利用する方法は可能
純正フロントスピーカーを取り外し、そのスピーカーへ来ていた左右の出力線を新しいミニスピーカーへ延長するという構成自体は、電気的にはシンプルです。純正スピーカーを残したまま並列に追加するのではなく、純正スピーカーを切り離して代わりのスピーカーを接続する形になります。
例えば左フロントのスピーカー出力+/-を新しい左スピーカーへ、右フロント+/-を新しい右スピーカーへ接続します。純正スピーカーを外したコネクターを利用して変換ハーネスを作れるなら、純正車両配線を切断せずに施工でき、将来純正へ戻しやすくなります。
使用しない純正コネクターを残す場合は、金属端子が車体金属部などへ接触しない状態に固定しておくことが大切です。配線を途中から分岐する場合も、圧着端子や適切な接続部品を使用し、接続部分を確実に絶縁します。
なおスピーカー出力のマイナス線を「車体アースと同じだろう」と判断してボディへ落とすのは避け、新しいスピーカーにはオーディオから来ている+と-の2本をそのまま接続するのが基本です。
線の太さより新しいスピーカーのインピーダンス確認が重要
今回のような交換では、配線のsq以上に注意したいのが新しいミニスピーカーのインピーダンス(Ω)です。純正オーディオのアンプには想定している負荷があるため、接続するスピーカーのインピーダンスが適合しているかを確認する必要があります。
例えば純正システムが一般的な4Ω程度のスピーカーを前提としているところへ、極端に低いインピーダンスのスピーカーを接続すると、アンプに想定以上の電流が流れるおそれがあります。また、純正スピーカーと新しいスピーカーを安易に並列接続すると合成インピーダンスが下がるため注意が必要です。
純正フロントスピーカーを完全に外し、その出力1チャンネルにつき新しいスピーカー1個を接続するなら構成は分かりやすくなります。それでも購入予定のミニスピーカーについて、定格インピーダンス、定格入力・最大入力、車載オーディオへの接続可否を説明書で確認してから施工しましょう。
また非常に小さなスピーカーへフルレンジ信号を入力すると、低音域で音割れしやすい場合があります。小型スピーカーの仕様によってはハイパスフィルターや付属ネットワークが必要になるため、単純に線だけつなげれば最適な音になるとは限りません。
配線加工で失敗しないためのポイント
車両側の純正ハーネスを直接切断すると、元に戻すのが難しくなります。対応するスピーカー変換コネクターが入手できるなら、それを利用して延長配線を作る方法が扱いやすいでしょう。
延長線には車載用途に適した電線を使用し、左右それぞれの極性が分かるように色分けしておくと施工ミスを防げます。接続後は配線がドア内部の可動部、ウインドー機構、鋭い金属部分などへ接触しないよう固定します。
また作業中にオーディオ配線をショートさせると機器を損傷する可能性があります。電装作業の基本として、安全を確保したうえでバッテリーのマイナス端子を外すなど、車両・オーディオの取扱説明書に従って作業してください。
配線色についても年式や仕様を確認せず「この色が必ずフロント右+」などと決めつけないことが重要です。車両配線図、変換ハーネスの説明書、テスターなどを利用して対象線を確認してから接続するほうが安全です。
まとめ:MH23Sの純正線と完全に同じsqにする必要はない
MH23SワゴンRの純正オーディオからフロントスピーカーへ伸びる配線について、一般公開されたメーカー資料だけから「必ず○○sq」と断定するのは適切ではありません。正確な純正線サイズが必要なら、車両の仕様を特定したうえで配線図・整備資料や現車で確認するのが確実です。
一方、純正フロントスピーカーを取り外し、その出力を別の小型スピーカーまで短距離延長する用途なら、延長線を純正線と完全に同じsqへ合わせる必要性は低く、0.5sq前後の車載用電線・適切なスピーカーコードを選ぶ方法が現実的です。
それ以上に重要なのは、新しいスピーカーのインピーダンスが純正オーディオに適していること、左右と+/-を正しく接続すること、未使用端子を絶縁すること、接続部分を確実に圧着・絶縁することです。
特にミニスピーカーは製品によってインピーダンスや入力、再生可能な周波数帯域が大きく異なります。配線を購入する前にスピーカーの型番と仕様を確認し、純正オーディオへ直接接続できる製品なのかを確認してから施工すると失敗を防ぎやすくなります。

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